◎邪道ヒロインですが。

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『ねえ、聞きたいことあるんだけどいい？』
「難しくないことならいいよ」





と言いながらこちらを見てきた。
難しいってなによ。このガリ勉が！





『え？その難しいかは分かんないけど……なんであの時、関わらないでとか言ったの』
「んー、なんでだろーね」
『やっぱりとぼけられた……』





那須はこちらを見ずにそう答えた。
あーあ、無駄でした！酔ってるからって
ペラペラ喋ってくれるタイプじゃなかった！





「ねえ、さっきさ、サラダ取り分けたらモテるって思ったの？」
『えっ……』
「ちょっと古いよなあ、今時は男に頼った方がいいよそういうの」
『なんで私那須にアドバイスされてんの』





梅干しサワーを飲みながら
そんなことを呟く那須。
なんか那須に言われると癪だわ！





「(人1)が幸せになるため？」
『いや、絶対思ってないでしょそれ』
「ところで、いつまで他の人に猫かぶるつもり？」





なんて言われてバチっと目が合った。
そんな目で聞かれたらごまかせないじゃんか。





『馬鹿みたいって思われてもいいんだけどさ』
「うん」
『……ヒロインになりたいの』
「へえ、ヒロインねえ……」





まるでふーん、とでも言いたそうな顔で
私の話を真剣に聞いている那須。
絶対笑われると思ったのに意外だった。
そしてこの話を蒼弥以外に、
しかも那須にしていることにも驚いた。





『今のところヒロインは小春ちゃんで、私は……脇役？当て馬？』
「そうかな、あの子がヒロインってのが俺は分かんないけど」
『なんで？』
「まあヒロインは2人いたっていいんじゃない？」
『それってどういう意味よ』
「あの子が王道ヒロインなら(人1)は邪道ヒロイン、みたいな」
『ちょっと那須！慰められてる気が全然しないけど！』
「……女の子はちょっとくらいダメなところがあった方が可愛いよ」





なんて言いながら残っていたお酒を飲み干して
そのまま別のテーブルへ立ち去った。
その時の那須の表情は、見えなかった。





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