◎邪道ヒロインですが。

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「ねえAちゃん」
『ん？……あ、小春ちゃん』





高橋先輩と別れた後に声をかけてきたのは
ヒロインこと小春ちゃん。
そんなに仲良くないのになんでだ。
ていうかお風呂入りたいから
早く部屋に帰らせて欲しい……。




「Aちゃんって那須くんと仲良いの？」
『……またか』
「え？」





これ聞かれるの本日3人目なんだけど？？
もう背中に書いておきたいくらいだよ。





『あ、いやいや。全然仲良くないよ。ほんとゼミ長同士なだけだから』
「そっか、ならよかった〜」
『……？』





私がそう答えると
ホッとした様子の小春ちゃん。
えっ、なに。





「私、那須くん気になってるんだ〜」
『へ……』
「って言ったらどうする？？」





なんだそれ。なんで私は小春ちゃんに
こんな試されるようなこと聞かれているのか。
もしかしてどっかで那須が聞いてんの？





『那須に言われたの？それ』
「え？」
『那須に聞けって言われたの？スパイみたいな？』
「違うよ〜」





やっぱりなんかちょっと苦手だなあ。
なに考えてるかわかんないし、
合いそうなタイプだとは思ってなかったけど。





『心配しなくても小春ちゃんが嫌がるような関係にはならないよ』
「そうなんだ〜急にごめんね！」
『ううん、大丈夫』





大丈夫だなんて答えたけど、
もし本当に小春ちゃんが那須のことを
気になってるんだとしたら。
那須にだけはあんな王道ヒロインを
好きになって欲しくないな、
なんて柄にもないことを思ってしまった。





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