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"冷たいこの手に 温もりは無くて
強がり 独り善がり もう何も要らないの"
どうしたい訳でもなく作った自作ソング。
別に音楽で食っていきたいって訳でもない。
ただひたすらジャカジャカと響くギターの音に並べた言葉。
趣味にしては曲作るなんて熱中し過ぎた。
街灯の光だけを頼りにただただ歌った。
警「すみません、ちょっといいですか?」
私の前には1人の警官。
怪訝そうな表情で立っていた。
「はい。」
警「結構若いね。いくつ?身分証見せてもらえるかな?」
「免許証でいいですか?20歳です。うるさかったですか??」
警「ありがとう。先月20歳になったばかりか。なら補導はしないけど。この辺は住宅街から離れてるし、大丈夫だと思うけど、時間が時間だしさ。お姉さん1人で危ないよ?」
「バイトが終わるとこの時間なんです。練習したいけど、アパート暮らしなので、家だと他の住人の方に迷惑かと思って。それにここは人が来ないので大丈夫です。」
警「そっか。まぁ仕方がないといえば仕方ないけどさ。人気がないって事はもし何かあったら助けてくれる人も居ないってことだよ?不審な人とか居なかった?」
「そうですよね。その辺は気を付けます。誰も来てないと思いますけど、何かあったんですか?殺人犯が逃げてきたとか。」
警「いや、事件とかは無いけど一応パトロールだから聞いただけだよ。」
「てか、むしろ私が不審者に見えたから声掛けたんですよね?」
警「まぁ、ちょっとそれもあるね。でも家出不良少女でもなさそうだし。素敵な声だけど気を付けてね。」
優しい警官のお兄さん。
冗談で言ったけど、そりゃ不審者に見えますよね。
こんなに穏やかな職質なんてあるんだ。
注意された所でそろそろ帰ろうかと思ったところで、人影が近付いてくるのを感じた。
「え。なに...」
大丈夫とは言ったものの、
身体が強張る。さっきの警官、まだ近くにいるよね?どうしよう、逃げた方いいかな。
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時