その後の話:ローレンと水雲 ページ41
「ちょうどよかった、火貸してくれません?」
本社近くのコンビニの喫煙スペースに、遠目から見てもやけに目立つ人がいるなぁなんてぼんやり思いながら歩みを進める。
やっと人の顔が確認できる距離まで来ると、見知った顔が視界に映りマジか、と心の中で呟いたところで冒頭のセリフ。
『Aさんじゃないすか』
「これからお仕事ですか?」
『そっすね、14時からで…Aさんも?』
「あーA会議室ですか?」
『たしかそうっす』
身バレしない程度の内容を話しつつポケットから煙草を取り出す。
同じように煙草を片手に持っているAさんを見て、本当に喫煙者なんだなと例の配信を思い返す。
「それなら一緒ですね」
『まじっすか』
「後誰いるんですかね、結構こういうとこ適当ですよねぇ本社の方って」
やっと見つけたライターをAさんに差し出すとお先にどうぞの手ぶりをされたので、それに素直に従って自らの煙草へとライターを近づける。
カチカチと何度か着火を試みるが中のオイルが少ないのかなかなか火が付かない。
待たせてる待たせてる待たせてる、と焦る気持ちでより一層火が付かない。
「落ち着いて」
耳にスッと入ってくるAさんの声。
ゆっくりとライターにかけた親指を動かせばカチッという音と共に火が飛び出し逃さないようすぐさま口につけたフィルターを吸い込んだ。
『待たせてすんません』
「全然ですよ」
『…?』
ライターを差し出すも一向に受け取らないAさん。
貸してって言われなかったっけか、と視線を外し首をひねったところでAさんの動く気配。
『!?』
視線をAさんに戻したその瞬間、目の前に恐ろしいくらい整ったAさんの顔面。
思わず口から煙草を離しそうになったがなんとか堪えた俺を褒めて欲しい。
少し節目になったAさんと俺の間で赤い光が一つから二つへ。
「ん、助かりました」
『ちょ、な、え、は?』
上手く言葉の紡げない俺にAさんはクスクス笑い出すしで俺のキャパが…!
「ライター、着きにくそうだったのでローレンさんの火をお借りしました」
『事前に声掛けしてほしくはありましたよ!?』
「嫌でした?」
そう言いながら眉をひそめてシュンとするAさんは計算なのか素なのか。
どっちにせよ嫌じゃなかった自分がいて、よくわからない胸のドキドキで心臓がイテぇ。
「この後の収録も頑張りましょうね」
『…もちっす』
とりあえず、本番までに素数を数えて落ち着こう。
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なな(プロフ) - えある。さん» わたしも男主好きなので仲間ですね!褒めて頂けて嬉しいです!これからも応援していただけるようマイペースにですが頑張って書いていきます💪✨(あと何秒前に終了のものは連動とかではなく1話目2話目みたいな感じで使ってましたw) (2023年4月4日 17時) (レス) id: ec5992d1d9 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 何秒前に終了みたいなのって、、、何話とかと連動してます? (2023年4月2日 23時) (レス) @page9 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 男主のやつもっと増えてほしいです〜 主にぼくに需要が、、、ななさん神。男主+文才の神。 応援してます〜 (2023年4月2日 23時) (レス) @page3 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - プラスチックさん» さりげないかんじで弄ばれるように書いているのでそう言って頂けて嬉しいです💕 (2022年11月26日 12時) (レス) id: 3e077f16ff (このIDを非表示/違反報告)
プラスチック(プロフ) - 夢主に弄ばれるライバー様方が可愛いです♡ (2022年11月14日 22時) (レス) id: 897ac6c9fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作者ホームページ:https://twitter.com/HakutoNa7
作成日時:2022年10月27日 16時