その後の話:不破と水雲 ページ38
『やほ』
「いらっ……いらっしゃい、不破くん」
声をかけた俺に気づいたAくんが、ふわりと微笑む。
そのまま店の中に進んで、Aくんが立つカウンター席へと腰掛けた。
『いつもの』
「ふふ、いつもの、ね」
『そそっ』
通ぶって言う俺に付き合ってくれるAくん。
慣れた手つきでシェーカーに液体を注ぎ、シェイクする姿は本当に様になる。
カクテルグラスに注がれる淡い紫はAくんが俺をイメージして作ってくれたオリジナルカクテルだ。
もちろんアルコールゼロなので俺の体にも安心だったり。
「どうぞ」
『やっぱ最高』
「ん。今日は?」
『これから仕事。Aくんは何時までなん?』
「…ナイショ」
軽いウインクと口元に添えられるすらりと長い人差し指。
なにやっても様になる男なんてAくんしかいないんやないかって思う、本気で。
内緒、に込められた意図に気づくくらいにはココには通ってて、Aくんのことも理解してきたつもりなわけで。
『あと30分、付き合ってや』
「いつまでも付き合いますよ」
『ほんならずーっと居座っちゃおっかなー』
「貴方を待ってる女性達がいるでしょう?」
『んはは』
カクテルグラスを磨きながら他愛もないおしゃべり。
何か問いかければ欲しかった反応が返ってきて、少し間が開けばAくんから話題を振ってくれる。
ホストの仕事や配信で知らぬ間に感じている"疲れ"の部分がココに来れば消えてなくなるのは、言うまでもなくAくんのお陰だろう。
『なー?』
「なんですか?」
『今度デートせん?』
「デート、ですか?」
あ、その顔あんま見たことない。
目を少しだけ開いて、キョトンとした顔。
『エスコートさせてや』
「独り占めさせて下さるんですか?」
『この不破湊を好きにしてくださっていいんですよ、姫』
「ふっ、俺の見た目で姫はキツくない?」
『おっ』
「あ」
『別に気にしてへんよ』
「…そ?」
『むしろこんなかっこええAくんに気づけてなかったんが勿体ないって』
「なんですか、それ」
『あ、戻った』
990人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな(プロフ) - えある。さん» わたしも男主好きなので仲間ですね!褒めて頂けて嬉しいです!これからも応援していただけるようマイペースにですが頑張って書いていきます💪✨(あと何秒前に終了のものは連動とかではなく1話目2話目みたいな感じで使ってましたw) (2023年4月4日 17時) (レス) id: ec5992d1d9 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 何秒前に終了みたいなのって、、、何話とかと連動してます? (2023年4月2日 23時) (レス) @page9 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 男主のやつもっと増えてほしいです〜 主にぼくに需要が、、、ななさん神。男主+文才の神。 応援してます〜 (2023年4月2日 23時) (レス) @page3 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - プラスチックさん» さりげないかんじで弄ばれるように書いているのでそう言って頂けて嬉しいです💕 (2022年11月26日 12時) (レス) id: 3e077f16ff (このIDを非表示/違反報告)
プラスチック(プロフ) - 夢主に弄ばれるライバー様方が可愛いです♡ (2022年11月14日 22時) (レス) id: 897ac6c9fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なな | 作者ホームページ:https://twitter.com/HakutoNa7
作成日時:2022年10月27日 16時