参考書30冊目 ページ33
『⋯わたしの、せい…』
一足先に自室に戻ったAは
ベッドに倒れ込み、そう呟いていた
服の襟元は、男子学生に掴まれた時に着いた血が
乾いてこびり付いてしまっている
しかし、そんな事を気に求めない様子で
細く白い首に手を当てがってみた
『私が、いなかったら…』
掠れた声は、誰に届くことも無く消え入り
皇帝も、否定も、返してはくれなかった
『⋯絵、描きたいな……』
ふと沸いた意欲
今の感情を、、どこにぶつける事も出来ないこの
気持ちを、形にしたかった
思い立てばすぐ行動
重たい身体をベッドから起こしてパソコンを起動させる
ﾊﾟｯと明るくなった画面に番号を入力して、
ペンを手に取った
(いつもなら、何回も描き直す構図が
こんなにも簡単に決まるなんて可笑しいな…)
そんな事を思いつつ、白かった画面にどんどん
色を重ねていく
目に焼き付いて離れない、鮮やかな赤
それとは対象的な、綺麗に澄んだ青
私に影を落とした黒と、それを産んだ光の白
ピンク…黄色…紫……多色な花々の色
そして…
助けてくれた彼の、綺麗な緑⋯
『っ！⋯⋯はぁ…』
描き込むことに夢中で、息を止めていたらしい
ｸﾞｯと椅子の背もたれにもたれかかり、画面を遠くから見る
様々な色に蝕まれていく、少年の絵だ
蝕んでいるのは、花だったり血痕だったり、
凶器だったり言葉だったり…
助けを求めるも、淡い緑の光に手は届かない
藻掻き、苦しみ、泣いて叫んでも、やはり届かない…
『⋯苦しそう……可哀想だな…』
他人事の様に呟いて、画面にそっと触れる
誰も助けてくれない
誰も、助けられない
助けてあげたくても、一緒に沈むのが嫌だから
だから、伸ばした手は誰も掴めない……
『この絵は、下描きのままの方がいいな…』
描いた絵を保存して、ネットに上げる
皆の反応を見ることなく、何となくその絵を見つめてみる
『⋯この苦しさから救う手は、きっと…』
そこまで言って、はっと口を噤んだ
ー私今、何を言おうとした⋯？ー
普段は勉強ばかりで、人徳や心情なんて考えなかった
こんな苦しさ、知らない…
こんなもどかしさも、息苦しさも、、
なんで、今になって知らない事があるの？
私は常に全部を知ろうとした
その為に手放した物は沢山あった
手に入れたものは、他人に誇れるだけの知識だけ
でも、そんな私に知らないことがあった⋯
じゃあ、今まで手放した物の意味は⋯？
そんな考えを消すように、私は参考書を開いた
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めい*cerw* - 更新待ってますね！ (2019年3月30日 2時) (
レス) id: 6f4d80c867 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - 更新停止してますよ！このお話好きなので良かったら更新して下さい！ (2018年9月1日 22時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
rin.rain.(プロフ) - 面白いですね！これからも頑張ってください！そらるさんもっと出してry (2018年3月20日 21時) (レス) id: 15ed3460f9 (このIDを非表示/違反報告)
れもんねこ(プロフ) - わーい！ろんさんありがとうございます！まだ出てきてくれるのでしょうか（ドキドキ 更新頑張ってください〜！ (2018年3月4日 18時) (レス) id: 032d1e69c8 (このIDを非表示/違反報告)
Dr.K(プロフ) - れもんねこさん» ろんさん了解です！コメント、リクエストありがとございます！！ (2018年3月1日 20時) (レス) id: a5d990b401 (このIDを非表示/違反報告)
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