三禁と恋 ページ5
『ねえ、恋ってどんな感じ？』
だんだん興味が出てきた。私には未知の世界だから。
「そうだなぁ…あ、A手貸して」
『手？はい』
笹山は私の右手を取ると、握手してきた。
「どう？」
『どうって…』
普通の握手だよ。
私がそう言うと、笹山は右手と左手を握り変えて、
手のひらと手のひらを合わせるように繋いだ。
笹山の体温が、私の握られた手を通して伝わってくる。
「これは、どう？」
『ちょっと…恥ずかしい』
「うんうん」
笹山は嬉しそうに笑うと、握った手の角度を少しずつ変えて、
小指から順番に私の指とゆっくり絡ませていく。
『…これは恥ずかしい』
顔に熱が集中する。
笹山から思わず顔を逸らす。
笹山が握った手の親指が、私の握られた親指をゆっくり撫でている。
『待って笹山ほんとに恥ずかしい』
「へぇ…」
笹山の声がした直後、
「じゃあ…これは？」
笹山が私の顔の前まで握った手を持ってくる。
これ以上ないくらい熱を帯びた私の顔を見て満足気に笑う。
『ね、もういいでしょ、離して』
「やだ」
笹山は握った手を、自分の頬にあてると、ゆっくりと私を見ながら頬擦りする。
もう声もでない私に微笑みかけ、
「恥ずかしい？」とかわかりきったことを聞いてくる。
無言で頷く私。余裕そうに笑う笹山。
「じゃあ…Aが照れちゃうから次で最後にしてあげる」
笹山は、握った手を頬から離すと、そっと唇にあてた。
色々な方向から唇をあてていく笹山。
その度に柔らかい感触が手に当たる。
そして上目遣いで私を見た後、
「後はここだね」
笹山が身を乗り出してきた。
どんどん近づく距離。
私の顎に指が触れる。
長いまつげが伏せられて、
私も目をギュッと瞑ったとき──────────
『イテッ』
急にピンッとおでこに痛みが走った。
「…なんてね。僕は口付けまではしないよ」
目を開けると、ケラケラ笑う笹山がいた。
『うっ…笹山ぁぁー！！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
菜々香 - ほのかさん» コメントありがとうございますー！これからも頑張ります！ (2022年10月2日 18時) (
レス) id: 83caede52f (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - このお話すごく面白くて大好きです💕これからも投稿頑張って下さい！！ (2022年9月30日 19時) (レス) @page33 id: 3929e44e96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜々香 | 作成日時：2022年8月10日 11時
