【暗殺教室】隣の席の赤羽くん【赤羽業】 (ページ21)

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赤羽くんの隣ページ21

私が赤羽くんを名前で呼んだ次の日。

いつも通りに教室へ来ると、机の上に日誌が置いてあった。

・・・やれってことかな。それか間違えたのかな。

私の机に日誌が置いてある意味が分からず、首をかしげていると、ドアが鈍い音を立てて開いた。

「あ、赤羽くん。おはよう。」

「ん、おは・・・って、あーそうか、今日日直だ。」

「え、あ、そっか！だから置いてあったのか！」

大きな黒板の隅っこに書いてあるのは、日直である私と赤羽くんの名前。

昨日、少し寝すぎたからかな。すっかり忘れてた。

「おはようございます、小鳥遊さん！日誌、置いときました。」

「あ、奥田さんがやってくれたんだ。ありがとう、忘れるところだった！」

どうやら日誌を置いてくれたのは、昨日の日直である、奥田さんらしい。

ぺらぺら、とページをめくって、今日の日付と今日の時間割を書いた。

時計を見ると、もう少しでHRが始まる時間。

私は慌てて教科書を机に詰め込んで、椅子にキシリ、と座った。

「で、ここの問題を～渚くん！」

先生の授業は分かりやすい。とっても、分かりやすいのだ。

分かりやすすぎるから、つまらなく感じるのも仕方が無いと思う。

せめて一つでも分かるところがあればいいんだけれど、授業は私の得意教科。

ノートに落書きをしながら、先生の巨体からのぞく黒板を見た。

私の名前と、赤羽くんの名前が並んでいる。

それだけだ。それだけなのに、少し頬が緩む。なんでかな。

「はい、ここまで！号令をお願いします。」

退屈だった授業が終わり、黒板消しを手に取った。

下の方はらくらく消せるが、問題は上の方。悔しいけれど、届かない。

笑われそうだけど、赤羽くんを呼ぼうと思い、後ろを振り向くと、誰かとぶつかった。

「届かないっしょ？」

「あか・・・と、届かないよ・・・。」

「あはは、やっとくから。ほら、貸して。」

私の手から黒板消しを奪い去った赤羽くんは、さっさっと上の方にある、先生特有の字を消した。

呼ぶ前に来てくれる。そんな優しさが、赤羽くんの良いところ。

「あのタコ、あんな手してて筆圧強いんだよね～。」

「ね、文字残っちゃうよね。あ、赤羽くん。」

「ん？」

「手伝ってくれてありがとう。」

面と向かってそう言えば、赤羽くんは薄く笑って、「俺も日直だから、当然じゃん」と、私の頭を小突いた。

その小突きは、嫌な人を殴るときみたいに強くなくて、軽いものだった。