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..
姉「 雄登!?」
「 … 姉ちゃん 、ごめん 」
姉「 えっ … ?」
Aと合った目を逸らすこと無く 、
彼女に一歩一歩近づいて左手を差し出すと
『 …… ご 、ごめんなさい!』
ほろりと涙を零したAが
俺の左手に右手を重ねた 。
優斗「 は?ど 、どういう事だよ … !」
目の前は先程の余裕そうな表情は何処に行ったんだと
思うくらいに焦った声で俺とAを見るこの人 。
姉「 雄登 、何してるの!」
廉「 那須くん!」
姉ちゃんと旦那の声が聞こえるけど
このチャンスを逃したら駄目なんだ 。
混乱している会場内 。
スタッフもこんな展開は初めてなのか
インカムを握ったまま固まっている 。
「 本当にいいの?」
手を重ねたAに確認するみたいに聞けば
軽く微笑んで頷いたから
その右手をギュッと握り 、駆け出した 。
優斗「 おい!」
姉「 雄登!A!」
… 止まるものか 。
そんな思いでチャペルを飛び出した 。
『 はあ …… はあ …… 』
走っている間に
聞こえる彼女の呼吸も
『 ゆー 、と …… 好きっ …… 』
息を切らしての告白も
背中で感じながら改めて彼女の右手をギュッと握った 。
『 ずっと好きなのっ …… !』
「 俺もっ 、好きだよ!』
振り返ってそう言った俺に
涙を流したA 。
自然と止まった2人の足 。
結構遠くまで走ってきたみたいだ …
息も整っていなかったはずなのに
全然苦しさを感じない 。
しっかりと向き合ってベールを上げると
やっと捉えた彼女の目の奥は黒かった 。
ああ 、何だ …… そういう事だったのか 。
彼女の右手に自らの右手をキュッと絡ませて
もう二度とこの手を放さないと心の中で誓い
彼女を引き寄せ唇を重ねた 。
『 雄登 、』
「 好きだよ 」
重ねた唇からほんのりといちごみるくの味がして
愛おしさが溢れた 。
手を放したのは正しかったのか
真実は碧のままだ 。
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end __
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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時