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「 それに遅すぎるって何?」
『 …… それは 、』
俺の問いにAが口を開いた途端 、
カランコロンと入店を知らせる音が鳴った 。
いらっしゃいませ という声と
優斗「 那須くん 」
店に入って来た
…… 俺の大嫌いなこの人 。
「 … どうも 」
優斗「 A 」
俺を呼んだ癖して挨拶しても
顔すら俺に向けず彼女だけを見て名前を呼んで
生徒会長をしていたあの頃とは
見方が変わるほどだ 。
優斗「 招待状は送ればいいって言ったよね?」
『 …… 』
こんな所とか 。
『 ごめん … でもやっぱり直接がいいかなって 』
優斗「 まあいいや 。それで?もう渡したの?」
『 うん 、丁度いま … 』
優斗「 じゃあもう用は済んだよね?」
黙って見ながら違和感を覚え始めていた
このやり取りだったけど
帰るよってこの人が彼女の腕を掴んだ瞬間 、
彼女の瞳がほんの一瞬だけ俺を捉えた 。
「 … ちょっと待って下さい 」
優斗「 ん?」
その瞳の奥はさっきよりももっと
碧に黒い霧が掛かったように見えた 。
もう少しで碧が消えてしまいそうな程に 。
「 俺はまだ用があるので … 席を外して貰えますか 」
早口だった 。
優斗「 … 俺が居たら駄目な話でもするの?」
「 大事な話なので 」
そう言うと顔を歪めながらも
優斗「 じゃあタクシー捕まえて待ってるよ 」
とAの頭を撫でたこの人が
優斗「 あ 、それと那須くん 」
「 … 何ですか?」
優斗「 いちごみるくの借りだからね 」
「 …… いいですよ 」
Aの夫になるなんて
俺はまだ認めたくないようだ 。
カランコロンと扉が閉まる音を確認して
またAに向き合う 。
瞳が揺れている 、
目の奥がぼんやりとまた色を変えている 。
「 それで 、さっきの続きなんだけど … 」
..
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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時