【碧】Yuto.N (ページ11)

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011. ページ11

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『お腹いっぱいだー』

「え？まじ？」

いっぱい食べてお腹いっぱいになった頃、
もうすぐで花火が上がるというアナウンスが流れた

「もうそんな時間かー、俺らも花火見に行こう」

相変わらず手は繋がれたままで。

『え？どこ行くの？』

「いいからついて来て！」

人の波に逆らうように歩く雄登について行けば
お祭りの雰囲気で賑わった所とは
少し離れた小さな公園に着いた。

「この公園、花火がよく見える穴場なんだー」

だから2人だけの秘密ねって笑う彼に釣られて笑う。

「あ … 久しぶりに笑ったね」

『え？』

「いつもの貼り付けた笑顔じゃなかった」

少し切なそうに微笑んだ雄登は
私の手を引いてブランコに座った。

「生徒会長といる時のA … 大人に見えてさ」

『え？どういうこと？』

「よくわからないけど置いて行かれる気がした」

『 …… 』

「 Aが生徒会長と遠くに行きそうで怖い」

まだ繋がれている手に力が込められる。

『雄登 … 』

「今日の姉ちゃんみたいなA見て余計に思った」

『 …… 』

「だから昨日、離れないで欲しいって言ったんだ」

ああ …

私はやっぱり雄登から離れるなんて
無理なのかも知れない。

どうにか安心させる言葉を言いたいけれど
上手く言葉が見つからないから私も繋がれた手に
力を込めてみた。

すると優しく微笑んで

「まだ時間あるし… ジュースでも買って来るよ」

そう言ってブランコから立ち上がった
雄登の手が私からゆっくり離れた。

その瞬間がスローモーションに見えたのは
どうしてなのか ……

待っててと公園を出た雄登の背中を見つめながら
まだ手に残っている温もりを握り締めた。

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