【wrwrd!】年下の彼らの面倒を見る 5(男主)

243 ページ44

『…………ｯ』


何度見ても

やはり……写真と変わらない家族で









俺…頑張ったんだ









ずっと、会いたくて


でも会えなくて








もう…………俺の手の届かないところまで逝ってしまった3人を





ただずっとこうして、抱きしめたくて









これからは、一緒にいられる


それが嬉しくて









自然と笑みがこぼれた









母「…………そろそろ、お別れね」



『……え？』









そう言って俺から離れる母さん


そしてそれに続くように、父さんも









どうして？




『やだよ…………ｯ！また…1人になるのは…………』

父「A」









父さんはふわりと笑う


父「お前は1人なんかじゃないだろう？」






『…………1人だよ…………ｯ』





トントンはきっと……母親のもとへ行ってしまう


あの広い家で1人になったら、俺は…………









母「彼が貴方を見捨てるわけないじゃない」

父「Aがそうしなかったように…な」


『……そんなの…わからないじゃん……』









血の繋がった家族の方が良いに決まっている


……現に、俺がそうなのだから









父「本当に母さんに似て、綺麗な顔になったもんだ」


母「ふふ……嬉しいこと言ってくれるじゃない」





そう言って微笑み合う2人

弟は俺と手を繋いでいる









母「…A…

　 貴方が思っているより、幸せはすぐ近くにあるものよ？

　 まだ、貴方はそれに気付けていないだけ





　 ……私は、お父さんにそれを教えてもらったの」









父「…………まだ、お前はこちらに来てはいけないよ」

母「愛してるわ、A」








『…………俺は…………』


ずっとここにいたいのに







何もなくても

他に誰もいなくても








ただ家族がいてくれるだけでいいのに









弟「行こう！Aお兄ちゃん！」



グイグイと手を引っ張る弟に連れられて






俺は道なき道を歩き始めた

244→←442

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す