キャンバス (ページ14)

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ちちんぷいぷいと吉沢亮ページ14

(2018年3月26日放送『ちちんぷいぷい』より)

出演していたドラマの撮影が終わって休暇ができたわたしは実家に帰省していた。
来年公開予定の映画のクランクインまではまだ日にちがある。久しぶりに大阪でのびのびできそう。

東京の家で飼っているハリネズミのハリーはマネージャーの百田に預けてきた。
夜行性だから日中はほとんど寝てるし、夜にご飯をしっかりあげておくように！と頼んだらあっさり了承してくれたのだ。

それでも心配そうなわたしを見かねてか、ちょくちょくハリーの写真を送ってきてくれる百田。いいマネージャーを持ったものだ。

久々の自室で久々にふかふかのベッドでごろごろしながら台本の確認をしていると、4チャンネルに合わせていたテレビからよく知った声が聞こえてくる。
(うっかり東京にいるつもりで日本テレビに合わせてたけど、大阪の4チャンネルってTBSだったなあ)

ぼんやり考えながらベッドから起き上がってテレビを見ると、そこにはリンゴさんの隣で桜えびのかき揚げをおいしそうに頬張る国宝の姿。

桜井日奈子ちゃんと出演している『ママレード・ボーイ』の告知をしたあと、カメラに視線をよこして手を振る亮ちゃんの姿を最後にちちんぷいぷいのコーナーが終了した。

わたしは開いていた台本を閉じる。ちちんぷいぷいはMBS制作で生放送番組だ。亮ちゃん、大阪来てるんだなあ。
連絡したらまずいかな、会えるかな、会えたらいいな。でも忙しいかな、迷惑かなあ。どうしよう。
台本を持っていた手はいつの間にかスマートフォンを握りしめていた。

悩んだ挙句、連絡するのをやめたわたしは黄色い蛍光ペンを片手に再度台本を開いた。

単語帳を横に置きながらぶつぶつと台詞を読み進める。だんだんと黄色い線で埋め尽くされていく台本の右側を視界の端に入れていると、置いてあったスマートフォンがブブッと音を立てて震えた。
「わ、びっくりした！」

マネージャーかな？と思いながら画面を確認すると、そこにあったのは先程までわたしを悩ませていた吉沢亮の名前。

『A、大阪に帰ってきてるんだって？』
なんで知ってるの、声に出しながら返事をすると、すぐに既読がついた。
『俺も大阪にいる』
「知ってるよ」
『あいたいです』
急いで打ったような拙いひらがなの文字にほっこりしながらわたしは答えた。

「いいでしょう」と。

国宝と大阪にて→←＊放送終了後