くまのぬいぐるみ【Nozomu.K】

ただいま ページ9

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聞きたいことは山ほどあったのに、いつもと違う朝に予定は狂い、何も聞けないまま家を出ることになった。







今日は絶賛残業デー。
疲れた、なんて言ってる暇もなく閉店ギリギリの店に飛び込んで、のんちゃんに必要な最低限の生活用品含め服も適当に選んで、買い込んだ。




のんちゃんが昨日私の家に来たとき持っていたのは、一つの紙袋だけで。

その中には、１日分の服だけしか入っていなかった。

つまりそれ以外のものは何もないのだ。



だから、少ないお給料からでも1週間過ごせるものは買っとかないといけない。





夜は9時を迎えていた。
そういえば、帰る時間とか伝えてなかった。

というか、帰ったら本当にいるのかな？
昨日の、今日の朝までの話が全部夢だったら、ちょっと面白いけど。





けど、ま、そんなはずもなく。



「おかえり」



玄関を開けると、そこには笑顔の、のんちゃんの姿があった。



「ただいま」



なんだか照れ臭くて、 思わずうつむいて赤くなる顔を隠した。




「遅くなってごめんね。
のんちゃんに必要なもん色々買ってたら、遅くなっちゃった。」


「そうなんや、ありがとう。
でもちょっと心配した。
結構遅かったし。」


「ごめん、ちゃんと帰る時間伝えとけば良かったね。明日からはちゃんと伝えとく。」




ちょっと拗ねたように言ったのんちゃん。
だけど、私の言葉ににこにこと笑っていて、本当に拗ねてる訳じゃないことが手に取るようにわかった。






「とりあえずご飯食べよっか。」




遅くなっちゃったから、コンビニで適当に買ってきちゃった、ごめんね、なんて言えば、


Aちゃんの手料理楽しみにしててんけどなー、まぁ、お楽しみはとっといた方が良いってことかー、て独り言のようにつぶやいた。







手際よく食べる準備を進めるのんちゃんを疑問に思った。

だって、どこに何があるかなんて教えてなかったから。




「ねぇ、なんでお箸とかコップのある場所知ってんの？」



「え？あー、それは、今日Aちゃんがいない間暇やったから、部屋の中見させてもらってん！」



そうか、まぁ、暇だし、そうなるよなぁ。



｢て、え？

まさか、クローゼットの中とかは見てないよね？｣



「ん？あー、あれ良かった。ピンクのブラ…」



最後まで言い終わる前に思いきりクッションを投げつけてやった。

先が思いやられると心から思った。



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