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72 許さない ページ27

加州がコナンに刀を振り下ろす


「待って!!清光!!!」


ヒュッとコナンの喉の奥が鳴った。
そう、その刀身はコナンの頭上僅か1cmで止まっていたのだ。


「…何?」


いつもより何トーンも低い声と殺気に、後ろ姿だけなのに身震いをしてしまう大和守。
それでも、主の言葉を守らなければと突き動かされていた。


「主の言葉忘れた!?殺しちゃだめだ!」

「じゃあ半殺し?」

「それもだめ!」

「じゃあ何?拷問で吐かせる?」

「…そんな事したら主、泣いちゃうよ。清光だって、主の泣き顔見たくないでしょ?」


加州は、はぁと溜息をついて刀をコナンの頭上から下ろして大和守に振り返る。
大和守は加州の表情に背中が凍りついた。
満面の笑みを向けていたのだ。


「…生きてて主が苦しむなら、俺は一時の主の涙を取るよ!!」

「だめ!!清光!!!」


止めに入ろうと主を抱えたまま飛び出すが、振り返りざまに素早く横からコナンを斬ろうとする加州には到底間に合わない。

コナンが死を覚悟して目をギュッと瞑った時、カキンッと刃と刃がぶつかる音が響いた。


「…っダメですよ、加州さん。」

「っ堀川…なんでお前っ!」


加州の刃を受け止めたのは先程まで眠らされていた、堀川だった。
やはり、付喪神といえども神は神。人間ごときの麻酔銃では効き目が薄かったようだ。


「退けよ堀川。そいつは主の敵だよ?斬らなくちゃ。」

「落ち着いてください、加州さん。何があっても手出ししない主さんを可笑しいって思わないんですか?僕なら何か考えがあるんだって思いますけど?」


ギチギチと鳴っていた刃同士の音がやみ、唇を痛いほど噛み締めた清光は静かに刀を鞘に収めた。
唇からは血が流れ落ちていたが、本人は冷静のようで堀川を退けさせコナンにグイッと近付いた。

バッチンッ と乾いた音が本丸中に響きわたった。
コナンの付けていた眼鏡は遠くに飛んでいき、その頬は赤く腫れ上がっていた。
彼はその頬に手を当てるとストンと地面に崩れ落ちた。


「…そんなんで済んだんだから主に感謝しろよな。……けど、あんたは俺との契約(・・)を破った。」

「……え」


何の事か頭が追いつかないコナンは、あのパーティでの言葉が蘇った。
その直後頭を金槌で打たれ方のような痛みに襲われ、視界がぼやける。

意識が遠のく中見えたのは、赤く染まった唇を弧を描いて笑う加州だった。


「おやすみ」

73 おはよう→←71 主の言葉



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あごしわ - コナンって光合成みたいに推理しなきゃ逝っちゃう呪いでもかかってるんじゃないかなって思う時がある。 (2020年1月1日 3時) (レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 式さん» その案名案ですね!!そうします!!暖かいコメントもありがとうございます(´∇`) (2018年8月7日 8時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 亜琉麻(プロフ) - 上でお願い申し上げます! (2018年8月7日 2時) (レス) id: e742954296 (このIDを非表示/違反報告)
璃奈 - 上でよろしくお願いします。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 9d081775ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 上で、式さんのような感じがいいです。続き楽しみにしてます (2018年8月6日 14時) (レス) id: 01a97476ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年5月5日 21時

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