とある少女の話 ページ3
とある山奥に、代々炭焼きの家に長女として産まれた少女がいた。
父と母、弟と妹。母の腹は大きくなりもうすぐもう一人の弟を迎えようとしていた。
父は病弱で、ほぼ毎日布団で横になっていたが、夫婦円満、家族円満と貧乏ではあったが、理想的な家族だったのは違いない。
ある日、父が村へ炭を売りに行った。
その少女は、父が持って行くはずの小銭入れの小袋を忘れたことに気付いた。
「これが無いと、お金を入れられない」と思った少女は、自分が走って届けてくると母に言った。
母は反対したが、弟は3歳、妹は2歳、母は身重である。それに比べ、元気で走る足が速かった10歳の自分。この中で届けられるのは自分以外いないと火を見るよりも明らかだった。
母の心配をよそに、小袋を片手に走り出す少女。
走り出した時には、日が落ちかけ辺りは既に薄暗くなっていた。
しかも、冬に入る手前だったため暗くなり始めれば日が落ちるのは早い。
真っ暗になってしまった森の中で、少女は恐怖で大泣きをした。
「お父さん、お父さん、どこ？」泣きながら、目を擦り、必死に足を動かして村の方角へと進んでいく。
次の刹那、真上から声が降ってきた。
「あれー？こんな山奥に子供？捨てられちゃったのかな？かわいそうに」
少女が上を見上げれば、月夜に照らされて虹色に輝く瞳が飛び込んできた。
その瞳は、少女の瞳を捉えるとねっとりとした笑みを浮かべた。
可哀そうという割には、嬉しそうに口角を上げる姿に少女は、とてつもない恐怖に今の今まで流れ出ていた涙が引っ込んだ。
「大丈夫だよ！もう、怖いことは何もないからね。俺が、食べてあげる。そうすれば、君はもう怖い思いをしなくて済む！我ながら名案だなぁ」
そう言って、固まった少女の脇を掴んで目線の高さまで持ち上げる。
口元の鋭い牙が月光で反射する。反射的に「ぃ、いや」と少女が拒絶しても、「大丈夫大丈夫」の返答しか返ってこない。
手足をじたばた動かそうとも、びくともしない力に少女の涙腺は崩壊した。
次の瞬間、少女は誰かに抱え込まれた。
先程まで自分がいた場所には、あの男の両手が地面に落ちていた。
「ひっ」と声を漏らすが、抱え込んだ人が優しく少女の頭を撫でた。
そして、ゆっくり地面に下ろすと庇うように前に出る女性。
少女の目の前に広がる、桜模様の羽織に、ほんのり漂う花の香り。
艶やかな黒い髪には桜の簪、手には刀が握られていた。
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ゆり - え！待って、私も桜柱なんだけど❗しかも、桜の呼吸一緒です (2021年11月11日 20時) (
レス) @page1 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
＊舞夜＊(プロフ) - 面白かったです！ �，任�願いします！！ (2021年10月4日 18時) (レス) @page49 id: a571a62cd6 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 安仙任さん» こちらこそ、引き続き読んでいただきありがとうございます！ (2021年1月7日 15時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - 続きを書いてくれてありがとうございます。これからも応援しています！私は�，�いいです！ (2021年1月7日 13時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
蕨 - �，任茲蹐靴�お願いします (2021年1月7日 11時) (レス) id: e40d74d461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2020年4月7日 16時
