6 発見 ページ8
結局、その日中に中島敦こと人虎を見つけられなかったA。
通常通り、学校へ登校した。
その帰り道。
何気なく寄った橋の上から下を眺めれば、それらしき人物がいるではないか。
通りすがりの女子高生を演じて、近付こう。
そう思い、橋を下り少年に歩み寄る。
だが、Aの予想を斜め上に行く展開へとなる。
「そそそそそ、そこの女子高生…さん！」
『…はい？』
目が合った刹那、指をさしAを一生懸命睨みつける敦。
「か、金目の物を置いていきやがれ…下さい！！」
『…はぁ？』
もはや、命令語や丁寧語にすらなっておらず、彼から必死さを感じる。
何事だ？と頭を傾けるAだが、彼から鳴る腹の虫に納得して笑いだした。
『空腹なンですか？』
「…うぅっ……」
どうやら図星のようで、顔をほんのり赤らめる敦。
Aは、少し待てと言って鞄の中を漁る。
すると、鞄の中から封が空いたスティックパンを取り出した。
『よければどうぞ？余り…ですけど。』
「全力で頂きます！！！！」
Aが微笑みながら渡すと、敦はそのパンに高速で食らいつく。
調子が狂う。
そう思いながら、食べる敦を見つめるA。
食べ終えた敦は、彼女にペコペコと頭を下げた。
「助かりました…」
『それはよかった。』
敦の後ろ、向こうの川に向かってAは、あ。と声を漏らした。
それにつられて敦が振り向けば、上流から流れてくる二本の足。
「ええええええええ！！」
見覚えのある光景に、多少目を見開いたAがワンテンポ遅れて、助けなくていい。と言おうとした。
しかし、一歩遅かった。
敦が迷いながらも川に飛び込んだのだ。
『……最悪。』
ポツリと本音が飛び出した。
ゲホゲホと咳き込みながら、例の人間を引き上げる敦。
それを見て見ぬ振りをする訳にも行かず、Aは親切そうな顔をして手伝った。
「川に流されてましたけど…」
ムクリ。と起き上がったその男は呟く。
「…助かったか……ちぇっ」
「ちぇっ！？」
助かった事に不服そうな声を漏らす男に、敦は驚いた。
「君かい？私の入水の邪魔をしたのは」
「入水！？」
自決法で知られるその名前に、さらに敦は驚いた。
一方のAは、冷めきった瞳で男…兄である太宰を見つめていた。
ため息が出そうなのを堪えて。
太宰の瞳が、Aの姿を捉えるとその瞳は徐々に丸くなっていった。
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マナ(プロフ) - とても面白かったです！！続きがすごく気になる…頑張ってください！応援してます！！ (2020年8月25日 19時) (
レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています！これからも頑張ってください！！！ (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2019年4月29日 17時
