3 職場とは ページ5
一応、自己紹介をしてくれた谷崎だが、ナオミの攻めが酷くて、Aは名乗り損ねた。
谷崎兄妹のラブラブっぷりを見せつけられたAは、無言で帰ろうと鞄を手に取る。
しかし、谷崎が待ったをかけた。
「ただの僕の誤解なンです!」
『その誤解とはなンです?』
谷崎は最近ナオミが目を付けられているのを知っていた。以前、喫茶に無理矢理連れ込まれて、食い逃げし、ナオミが払う姿を目撃したらしい。
今回はAが行っていると誤解した彼が、この喫茶に乗り込んだというわけだ。
『なるほど…』
それは、紛らわしい事をして申し訳ない。と頭を下げるAに、谷崎は左右に勢い良く頭を振る。
「全くです!Aさんは、ナオミを助けてくれたんですよ!」
「ええっ!本当にすみません!!ナオミの恩人とはつい知らず…」
『いえ、そういう経緯があッたなら当然だと思いますよ』
Aさんが寛容な方で良かったですわね。と艶めかしく頬を撫でるナオミ。
その行動に肩を震わせて静止をかける谷崎。
そのワチャワチャした雰囲気に、Aは懐かしく思い、ふと笑みが零れた。
『…仲が良さそうで、羨ましいです』
「あら、Aさんにご兄妹は?」
ナオミの言葉にピクリとAの眉が動いた。
『いるよ。二人』
その言葉にナオミは瞳を輝かせた。
「どんな方ですの!?」
『一人は、双子の兄なンだけど、仲違いして今は疎遠中。もう一人は四年前に私を置いて出ていッた』
予想以上に重たい話に、ナオミは返す言葉が見つからなかった。
『ああ!ごめんなさい。重い空気にしてしまッて…』
「…きっと会えますわ!」
だから大丈夫です!と元気付けるナオミ。
ありがとうと返すA。
優しい雰囲気の中、谷崎がふと腕時計を見た。
「っああ!ナオミ、時間時間!」
「もうそんな時間ですの?」
慌てた様子で立ち上がる谷崎。
それに続いて立ち上がるナオミ。
『お二人ともバイトですか?』
「私はバイトです!兄様にとっては職場です」
知っている事だったが、Aは知らないような表情を浮かべ、頭を傾ける。
『何のお仕事なンですか?』
Aの言葉に、谷崎は一瞬戸惑ったような素振りを見せたが、優しく微笑んだ。
「武装探偵社です」
「私はその事務員ですわ」
Aは酷く驚いた表情を見せた。
だって、一般人なら武装探偵社と聞いて驚かない人などいないのだから。
120人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 17時