20 任務依頼 ページ22
すると、廊下を走る足音が聞こえてきた。
次の刹那、勢いよく扉が開き一人が飛び込む。
「遅れて申し訳ありません！樋口只今到着致しました！」
背筋を伸ばし、深々と頭を下げる樋口。
彼女に対してAは優しく微笑んだ。
『急に呼ンだのは私なンだから、謝らなくていいよ。それに、時間指定もしてないし』
走って来てくれてありがとう。
と樋口に向かって笑いかけると、彼女はとんでもない。と云う。
樋口の到着を確認した芥川は、Aに問う。
「…僕らに何用でしょう」
『明日、二人にはやってもらいたい仕事がある』
真剣な眼差しで告げる彼女に、樋口は生唾を飲み込む。
元々遊撃部隊は、首領直属の部隊であり他の構成員と違って、幹部率いる部隊とは系統が違う。
無論、幹部自ら命令などそうそうない。
故に首領とは違った緊張感が樋口を支配していた。
それにだ。
岸幹部といえば、裏の世界では目立つような任務には絶対に参加しない。
むしろ、重要な隠密任務を任される事が多い。
だからか彼女に関する話をあまり聞かないのだ。
異能力もどんな能力なのか、詳しくは知らないし、歳も知らない。たまに話す事や関わることはあったが、それはあくまでも社交的なこと。
芥川に関しては、太宰を通じて多少の繋がりはあったが、頻繁に話す訳でもない。
つまり、どんな人物なのか幹部未満の構成員は知らないのだ。
その事もあって、樋口もあの芥川さえも首領よりも緊張の波に攫われそうになっていた。
あの隠密で有名な岸幹部が、直接我々二人に何用なのか。
『人虎を捕らえるのを手伝ってもらいたい』
「人虎を…ですか？」
『ええ。今、人虎は武装探偵社にいる』
探偵社という言葉に二人の眉がピクリと反応した。
「では、探偵社を殲滅ですか」
咳き込みながらも静かに問う芥川。
その彼に、彼女は違うとハッキリと云う。
『人虎は探偵社に入社したばかり。なら、新人には簡単な依頼を任せるでしょうね。』
眠そうな瞳で樋口を捉えると、彼女は背筋をさらに伸ばす。
『樋口ちゃん、髪下ろして』
「は、はい？」
『それで、そうだなァ……我社のビルヂングの裏手に良からぬ輩がいるから、現場を張って証拠を掴め…みたいな内容の依頼をしてきて。詳しい事は任せるけど、向こうが密輸業者だと思い込むような言い回しでね。』
「は、はい！」
ようやく、明日の決行する作戦だと理解した樋口は、彼女の云う一言一句を逃すまいと聞き耳を立てる。
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マナ(プロフ) - とても面白かったです！！続きがすごく気になる…頑張ってください！応援してます！！ (2020年8月25日 19時) (
レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています！これからも頑張ってください！！！ (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2019年4月29日 17時
