【刀剣乱舞×名探偵コナン】不死ノ少女 完結編

172 止血 ページ43

傷を負った反動で、二人は地面に倒れ込んだ。

Aは傷を癒そうと、腕を鞄に向ける…が、体が一ミリも動かなかった。
さっき、彼が施していた呪か。と予想すると、苦虫を噛み潰したような顔をするA。

それを見た陸也は、口角を上げ体を起こそうとするが、背中の刺傷は思っていた以上に深いらしい。
力を込めた瞬間、激痛で起き上がれない。

その隙をついて、彼女は動ける口を利用して呪を唱える。
次の刹那、彼の体は地面にめり込んだ。
鎌に纏っていた蝶が陸也に触れた証拠でもあった。

これで暫くの無力化には成功しただろう。
だが、この体はどうしたものか。とAが思っていると、駆け寄る足音が聞こえた。


「Aさんっ！」

『…コナン…君。』


Aの顔を覗き込んだのは、先程視界に入ったコナンだった。
今にも泣きそうな顔で、彼女を見下ろすとAの出血している腹部を急いで圧迫する。


「僕のせいでごめんなさい…」

『…君のせいじゃないよ。』


苦痛の中、笑顔を浮かべるAだがその額には脂汗が滲んでいた。


『コナン君、私の両手を思いっきり合わせてくれないかな？』


不安そうな顔をするが、Aに言われた通り力の入っていない彼女の両手をパチンッと合わせた。
そのタイミングに合わせて彼女は言う。


『兼定、三日月』

「なんだ、主。」


一瞬で現れた二振りに、コナンは目を見開いた。
またその二振りも主のその状況に目を見開いた。


「っ！主！！その怪我！！」

『大丈夫、急所は外れてるから。』


再び圧迫を開始し、止血を試みるコナンを見て、三日月は瞳を閉じた。


「何用だ？」

『今すぐ、この時代の、時の政府の護衛を…。彼らが、標的に。』


冷静に頷く三日月に対して、取り乱す和泉守。


『ここでの戦力は、大幅に削りました。だから、安心して、行きなさい。』

「馬鹿野郎！安心して行けるわけないだろ！！」

「そう喚くな、和泉守。」


三日月に振り返る和泉守だが、彼が天を仰ぐのを見てつられて自身も天を仰ぐ。
その瞳に映ったのは、ギラギラと照りつける太陽だった。

その意味を察した和泉守は、唇を噛み締め声を絞り出した。


「…第一部隊、主命に従い指定された場所へ向かいます。主。」

「第三部隊もだ。」

『お願い、しますね。』


無理矢理作った笑顔を見せ、二振りを見送るA。
内心、こんな姿清光に見られたら激怒されるだろうなぁ。なんて呑気な事を思っていた。

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