148 しろがね ページ19
人ならざるものが視える。
そう言われたコナンは辺りをキョロキョロと不自然に見回した。
けれど、それらしきものは視えずつまらなそうに短くため息をついた。
なんだ、視えねぇじゃん。
そう心の中で悪態をついていると、1羽の鳥がコナンの頭の上に爪をたてるように舞い降りた。
「っいってぇ!」
大声を出したコナンに、周りの大人が奇異の目で見る。
その異様な視線に彼は不快を感じながらも歩くのをやめない。
彼の視線からは見えないその何かを取ろうと手を伸ばした時
「我に触れようとするな、童。」
「っ……ええ!?」
「しっ。黙れ。これだからいきなり視えるようになった人間というのは煩い。」
声は先程の神と同じだ。けれど、このバサバサと羽をたてる音は鳥そのもの。鳥が喋っているのか!?とコナンの頭は大混乱。
「我の姿は常人には視えん。普通に振舞え。」
その言葉に彼は渋々、上げかかっていた手を自然のように頭の後ろで組む。
黙れと言われた手前、声を出さずにその姿が分からぬ鳥に神経を尖らす。
「そう睨むな。貴様が去った後あの審神者から連絡があってな。監視…いや、見守るよう頼まれた。」
「……なんで、僕を見守るんです?」
小声で尋ねれば、鼻で笑う声が聞こえる。
「政府に申した虚言に気づかれたようだな。」
そういえば、Aさんが政府の人と揉めながら自分を守っている。という言葉を思い出したコナン。
その時に言ったことだろうか?
仮にそうだとして自分になんであんな神がついてくるんだ。と不服そうなコナンに何かを察したのか、彼女は喉でクツクツと笑う。
「そんなに我がいるのは嫌か?まぁいいではないか。他の人間には視えんのだから。」
確かにそうですね。と悪態をつくが、実際の所いるのは構わない。頭の上。そう頭の上にいるのが気に食わないのだ。
そんな時、ふとコナンはある事に気づく。
「そういえば、名はなんと言うんです?」
「言っていなかったな。」
その言葉に続く名前をコナンはじっと待つ。
何か言葉を発しようと息を吸う音が聞こえたが、声は出なかった。
「貴様が当てるまで待つのも一興だな。」
「…教えてくれないんですね。」
「当たれば教えてやる。」
「当たったなら聞く意味ないでしょう!?」
すると、後ろからコナン君?と若い女性が声をかける。
ああ、蘭だ。と慌てるコナンから鳥が飛び立つ。
「それまでは好きに呼べ。」
その白銀の翼に無意識に「白銀」と呼んだ。
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Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2018年9月29日 22時