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「そういうことじゃない」





中堂さんは大きくため息をついた。


そして起き上がり近づいてくる。




「お前は何も思わないのか」



『……………何を?』






中堂さんは座る私を見下ろす。


影になってその表情はよく見えない。


彼は舌打ちをし、ゆらりとさらに近寄る。







「…………こんなことされても、いいのか」


『………………え』






トンっと肩を押され押し倒される。


ふわりと彼の匂いが漂った。


ああ、なんだか懐かしい香りだ。


まるであの子のような……………。






「男女が二人きりで寝泊り。間違いが起きるかもしれないんだぞ、クソが」









触れる彼の温もりが、


あなたのその懐かしい檸檬の香りが、


無邪気なあの子を連想させる。


会えるのなら、もう一度会いたい。


そして謝れるのなら謝ろう。






それで許されるのなら、なんでもする…………。







「………………は、」


『……………ごめんなさい、ごめんなさい……………』


「何で、泣くんだ?そんなに嫌だったか」


『ごめんなさい……………ああ、ごめんなさい』







もう何も考えられなかった。


何年も何年も罪の意識に縛られてきて、


同じ悪夢にうなされて、


もう嫌になって。









『ごめんなさい、ごめんなさい……………』









あの時私が死んでいればよかったのに。


私が、私が。


私があの子を殺してしまった。


彼らを殺してしまった。









『ごめんなさい……………』









溢れて流れる涙は止まらなかった。

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麻衣(プロフ) - 六郎落ちが良かったです! (2021年11月16日 7時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ラミンさん» 返信遅くなってしまってすみませんm(_ _)mコメント嬉しいです!一応中堂さんオチにする予定です (2018年12月16日 10時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
ラミン(プロフ) - 中堂オチがいいです・・・ (2018年12月8日 20時) (レス) id: a9e4616003 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月2日 10時

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