聞いてなかった ページ12
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「炭治郎くん、お金払っといて」
「え?」
甘味のお金としては十分すぎる程のお金を炭治郎くんに押し付け私はダッシュで甘味処を抜け出した。
呼吸を使いながら人の間を縫って走った。
道行く人には、
“この人、なんでこんなに走っているんだろう”
という不思議そうな目をされたが、今は
人目を気にしている場合ではない。
「よし、」
ここまで来れば問題ないだろうと歩き始めるが…
「もう逃げるのはやめたのか」
「ひえ」
背後に気配なく義勇が現れた。
昔は私が走ったら絶対に追いつかれなかったのに。
また走って逃げ出そうとしたら、
首根っこを掴まれ、ぐっと引き寄せられた。
ポスっという音と共に後ろから抱きしめられる。
「ぎ、きゆ」
「俺も男だ」
耳元で囁かれ腰が砕けそうになる。
昔とは変わり低くなった声、
高くなった背、強くなった力を。
いやでも“男”をしらしめられる。
義勇の吐息が耳にかかり、
「んっ」
と声が漏れる。自分のモノでないような艷のある声に思わず口を塞ぐが、それを義勇が聞き逃す筈もなく、より一層弱い耳を責め立てられた。
「もう、むり」
私がそう漏らすと、義勇は満足そうに頷き
私を置いてスタスタとどこかへ行ってしまった。
私はその背中を見送ると、
ヘナヘナとしゃがみ込んだ。
「もう、本当に、なんなのよ……」
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まおきる - カラスの名前小梅太夫は笑ったw (2021年3月30日 18時) (レス) id: 3a640c3b7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白かったです!!!新作も見てみます! (2020年5月14日 14時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - knmrurtさん» 幸せな気持ちって、、、ww、、、、それな!! (2020年4月7日 8時) (レス) id: e199ba65d0 (このIDを非表示/違反報告)
knmrurt(プロフ) - 幸せな気持ちになりました(泣) (2020年4月7日 6時) (レス) id: 6a1245db6a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - ゆっくり休んでね、、、 (2020年4月4日 23時) (レス) id: e199ba65d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイン | 作成日時:2020年3月31日 21時