3話 ページ4
「会いたい人がいる」
引くくらいの顔芸を披露する善逸が珍しく真面目な顔しているのだ。誰に?と聞けば
「家族を大切にして、ものすんごく可愛くて、指を弾く力が強いからよくそろばんを壊してたけど、でも、とてもいい子で!優しい子で!」
少し頬を染めて興奮したように話す姿にどこか近親感を感じた。
『…善逸はその子のことが好きなの?』
その言葉に空耳のはずだが、ボンッと音を立てて顔が赤くなった。そしてモジモジとし始めた。それで、嗚呼本気で好きなんだと思った。よく、彼女が欲しいなどと騒ぐが、特定の相手だけを好きなど言わなかった善逸だ。本当に好きなのだろう。
『そんなに会いたいの?』
「…うん」
照れたようにでも真剣な目で…
『なら、歌手になれば?』
無意識だったのだと思う。口が音を出してしまった。
もちろん、善逸ははァァ!?と言ったように混乱していた。
「何言ってんの!?馬鹿なの!?なんで!?なんでそうなった!?」
『…だって、有名人になれば、その会いたい子が善逸のこと覚えていれば会いにきてくれるだろうし、ライブとかすれば、全国行けるでしょ?その子がどこに居るかもわからないなら、遠い場所に居るかもしれないし』
「なるほど……で、でもさでもさァ!なんで歌手!?俺作詞作曲とかしたことないし!!」
『善逸の耳はいいから、少しでもズレた音が気になるからって吹奏楽部入るのやめたでしょ?でも、やめなかったらきっとたくさんの賞をとってたと思うし、なにより善逸の歌声は綺麗だよ。私は善逸の歌声が好き』
「そ、そうかなぁ」
照れはじめた善逸の顔はニヤニヤとしている。さっきの顔はかっこよく感じたのになぁ
「でも、どうやって歌手になれと?」
『路上ライブでもしてスカウトしてもらうしかなくない?』
「ええぇぇぇぇ!?そんな緊張してしまうことを!?無理無理無理無理!!ぜぇっっったい無理!!緊張で死んでしまう!!」
『そう…善逸の会いたい気持ちはその程度ってこと』
善逸がカチーンと固まった
『私も無理にとは言わないし、これまで通り?普通に探せばいいんじゃない?』
「……やる」
善逸は私に指を指す
「絶対に誰もが知る歌手になって、テレビに出て見つけてもらう!!!」
アタイ日本一の歌手になってやる!
今まで見たことないほどのやる気だ……でもアタイって?
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myu♪(プロフ) - Decemberさん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!友達にこうなったらどう思うかなど聞いたりして、感情表現が分かりやすくできるよう頑張ったのでそう言ってもらえて本当に嬉しいです! (2020年2月20日 10時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
myu♪(プロフ) - スヴィエトゥさん» コメントありがとうございます!嬉しいです! (2020年2月20日 10時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
December(プロフ) - このお話の設定めっちゃ素敵ですね(;_;)主人公に感情移入しやすくて、とても、面白かったです!素敵な作品ありがとうございます!! (2020年2月19日 22時) (レス) id: 8a83f8152c (このIDを非表示/違反報告)
スヴィエトゥ(プロフ) - 面白かったです (2020年2月19日 21時) (レス) id: f033e98427 (このIDを非表示/違反報告)
myu♪(プロフ) - 人形師さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月16日 13時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:me | 作成日時:2020年1月29日 0時