2話 ページ3
『なら、歌手になれば?』
それが最初の私の選択ミスした言葉。
まず、私はまだ自我のないアブアブ言ってる赤子のころくらいに親を亡くした。
施設の人が言うには交通事故らしい。
結構酷かったとか。母親が私を文字通り命をかけて守ってくれたため、私はこうして生きている。
それからは施設暮し。家族は、お母さん的存在のお婆さんと、同じく親を亡くした、捨てられた兄弟、姉妹たち。
その中にはちょっと変わった子ももちろんいる。特に変わっていたのは、一つ歳下で、私と同じく赤子の頃に施設に入った我妻善逸という子。
まず、よく泣く。赤子の頃は仕方ない。それが普通だ。この施設には逆に泣かない大人しい子はそうそういなかった。
だが、この我妻善逸は自我が芽生えてからも学校に通い始めてからもよく泣いた。
遊んでいて転んだ時も。
良すぎる耳のせいで寝れない時も。
兄弟、姉妹が新しい家族の元に行く時も。
自分の誕生日を祝われた時も。
私や他の子が先に小学校に入学し、離れると知った時も。雷にうたれて髪色が変わった時も。
大きな声でピーピーと高い、それも汚い高い声をあげて泣いた。
しかも、善逸の声はよく響く。
その口を手で塞いでもあまり変わらないくらいには響く。
兄弟、姉妹たちはそんな善逸を嫌う人が多かった。
でも、同じ施設に暮らしている以上、家族だからと呆れても、怒っても、一緒にご飯は食べたし、一緒にお風呂に入ったし、一緒にベッドで寝た。
私たちはそうやって本当の家族のように過ごした。
私は善逸を弟だと思っていたし、善逸も姉だと思っていただろう。
そんな五月蝿く可愛い弟な善逸が突然私に言ったのだ。
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myu♪(プロフ) - Decemberさん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!友達にこうなったらどう思うかなど聞いたりして、感情表現が分かりやすくできるよう頑張ったのでそう言ってもらえて本当に嬉しいです! (2020年2月20日 10時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
myu♪(プロフ) - スヴィエトゥさん» コメントありがとうございます!嬉しいです! (2020年2月20日 10時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
December(プロフ) - このお話の設定めっちゃ素敵ですね(;_;)主人公に感情移入しやすくて、とても、面白かったです!素敵な作品ありがとうございます!! (2020年2月19日 22時) (レス) id: 8a83f8152c (このIDを非表示/違反報告)
スヴィエトゥ(プロフ) - 面白かったです (2020年2月19日 21時) (レス) id: f033e98427 (このIDを非表示/違反報告)
myu♪(プロフ) - 人形師さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月16日 13時) (レス) id: 875cd6e9ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:me | 作成日時:2020年1月29日 0時