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私は窓へ向かった。
窓は両開きで、四枚の硝子が巧みに塡め込まれていた。
窓の向こうには横浜の街が見えた。
すぐ下には公園があり、その先には高層ビル群が並んでいた。
夜になれば、湖面に星空を映したような夜景が広がることだろう。
私は窓に背を向け、部屋の中を一望した。
その瞬間に違和感の正体に気がついた。
私は殺しのできないマフィアだ。
そのせいで、愚にもつかない面倒事を何度も押しつけられてきた。
だがそういう仕事を黙々とこなしているうちに、ある種の直感のようなものがはたらいてくるようになる。
ごく細い、今にも千切れそうな違和感の糸。
だがその糸をたぐり寄せるうちに、思わぬ真実に辿り着く事もある。
部屋の隅にある、黒い木製の丸椅子。
あれは不自然だ。
宿泊亭の備品のようでもないし、かといってこの部屋にそれが必要とされそうな机もない。
私は近付いて椅子を見た。
何の変哲もない、量産品の家具だ。
手にとってひっくり返してみた。
何か重大な手懸かりが裏に貼り付けられていれば良かったが、特に変わったところはなかった。
もう一度元の位置に戻して、かがみ込んでじっくりと見た。
気がついた。
椅子の座面が、かすかに荒れている。
それほど使い古された様子はないのに。
さらにじっくり見ると、かすれてはいるが、革靴の白い足跡のような模様が見て取れた。
私は再度部屋を見回した。
__天井の通気孔。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時