【ツイステ】言繰り師の学園録

序章２３ ページ24

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「一雨来そうですね…」

ディアソムニア寮を後にし、イグニハイド寮への帰り道。
雲行きが怪しくなった空を見上げて、ポツリと口をついて独り言が漏れてしまいました。

散歩に出たというマレウスさん、降り出す前に寮に戻られればいいけれど…

ポツ…ポツ……

言ってる傍から雨粒が一つ、二つ…

あらら…降って来てしまいました。
幸い私は屋根のある所まで戻ってきていたので、ずぶ濡れになることはありませんでした。
…そういえば、グリムさんは雨宿りできているのかしら…？
そんなことを考えながらザーッという音に変わった雨をぼんやりと眺めていました。

「……」

ちらっとあたりを見回しても、だれもいません。
これ幸いと、式典服のフードを脱ぎ、口元を覆っているマスクを外してみます。
雨のおかげで湿った空気。マスクを外しても咳は出ません。

「ふぅ…」

イデア先輩お手製のマスク、息苦しさは全くないけれど、
たまにはマスク無しで深呼吸をしてみたくなるものです。
濡れた土の匂い、雨粒の匂い、マスク越しでは感じられない匂いが鼻をくすぐります。
誰もいない廊下、雨の音だけが聞こえる安らかな空間。
目を閉じてしばらく堪能していようと思っていた時でした。

「お、誰かと思えばAじゃないか。」

完全に不意打ちで声をかけてきたのは、ハーツラビュル寮副寮長のトレイさんでした。

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