マイ探偵

二十三話 ページ28

特にこれといった手掛かりもなかったので、大家さんとの会話は割愛させてもらおう。

……と思ったのだが、駄目だ。

少し引っ掛かる部分があるのだ。

大家さんはこう言った。

「先週、壁の補強工事？みたいなのをしたのに、簡単に崩れちゃうなんてねぇ……」

この発言は明らかに可笑しい。

せいにぃにいくら力があったとしても、壊すのに時間は掛かるわ、音も大きくなるわで隣にいた七道さんが気づくはずだ。

……可笑しい。

そう思った僕は、大家さんに聞き、その補強工事を行った人のいる場所を教えて貰った。

場所はここから15km離れた会社だった。

僕はタクシーを捕まえ、その会社へと向かった。

会社は至って普通の会社。

それが僕の第一印象。

きっと誰もがそう思うことだろう。

「さて…白か黒かは、ドアを開けてからのお楽しみ……っと」

二重の意味でね。

と、誰にも聞こえないような声で呟き、真夏日の日光から逃げるようにして会社へと入った。

受付で大家さんから教えてもらった人の名前を言うとすぐさま本人が出てきた。

丸刈りの頭に作業服、肩にはくたびれ汚れたタオル。

その姿だけで工事をしている方だと容易に想像できる。

僕は軽く自己紹介をし、彼に事情を聞くことにした。

彼は上に話をし、許可を取ってきていたらしい。

どうにも準備が良い。

その方が助かるのだが。

僕は彼と向き合った。

事件の真相を暴き、せいにぃを救うために。

どんな小さな発言でも、絶対聞き逃すものか。

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｜彼の情報｜
名前：倔刃 漓紅(つよば りく)
性別：男性
年齢：37歳
職業：建設

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