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「何言ってるの・・・」
「恋人がいるんだろ?キスの一つや二つ、安いもんだろ」
「やめて。帰って」
有り得ない。
彼に何があったというのか。数年前とはまるで別人のようになっている。
「キスしてくれるまで、お前が家に入ってもここにいるよ」
「・・・警察呼ぶよ」
「彼女と喧嘩してるんですって言うから、呼びたいなら呼べば?」
「っ・・・!」
どうしよう。どうすればいい?
キスなんてしたくない。
でも母や近隣の方に迷惑をかけるのも嫌だ。
ぐるぐる考えていたら、洋介が私の両腕を掴んだ。
「その気がないなら、無理やりさせてもらうわ」
「やっ・・・!」
必死に顔を背け、洋介の唇から逃げる。
それを見た洋介は、私を家の壁に押し付けた。
逃れられない・・・!
「・・・好きだよ、A」
「っ、!」
そう私の耳元で囁いたあと、歯を食いしばる私の唇に、無理やり洋介のそれが重ねられた。
「ん、!」
「はぁ・・・」
涙が止まらない。
洋介は、私の手を離そうとしない。
「な、んで・・・離して・・・」
「回数なんて、したもん勝ちだよな」
不敵に笑って、また唇を重ねてくる。
絶対に舌は入れさせないようにと固く口を閉じていたが、触れるだけのキスを洋介は結局無理やり三回繰り返した。
「・・・じゃあね、ご馳走様。せいぜい幸せになれよ、A」
悔しくて、気持ち悪くて、嗚咽で何も言い返せずにその場に座り込んだまま、恨みの込められた目で彼の背中を見送る。
立ち上がろうとしたその時、いつもの様に携帯が着信に震えた。
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真桜(プロフ) - 莉兎さん» いえ…!!ラジオは入野さんの素が出ますもんね笑 入野自由cv.入野自由って結構きます笑 毎回読む度に心拍数が凄くて…笑 本当に大好きでお気に入りの作品です!!勿論です!応援してます! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - 真桜さん» コメントありがとうございます。実はそれを1番意識して書いているのでそう言って頂けてとても嬉しいです…!ラジオの聞きすぎでしょうか、脳内で自動再生されたCV入野自由を頼りに執筆しております(笑)これからもご愛読、ならびに応援よろしくお願い致します!! (2019年5月26日 20時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
真桜(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます…!!私の勝手な偏見なんですけど、入野さんこういう口調っぽそうだなーとか、こういう行動しそうだなーって思って本当に凄いなぁって思います!毎日更新楽しみにしてて…お受験でお忙しいと思いますが、受験合格応援してます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 莉兎さん» ありがとうございます。いつか機会があればお願いします。 (2019年5月26日 17時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - りささん» 謝ることないですよ(・・;)お気になさらないでください、、! (2019年5月26日 16時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月22日 0時