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やっと震えの治った足で自分の部屋に入った。
既に電気が点けられていて、入野さんは私のベッドに腰掛けて携帯をいじっている。
「入野さん、」
「おかえり。さっぱりした?」
「っ、はい・・・」
とても優しい表情で私を見る入野さん。
今日は涙腺が緩み切っているようだ。また目に涙が溜まる。
そんな私を見兼ねた入野さんは、笑いながら手を広げて“おいで”の合図をする。
零れた涙を拭って、勢い任せに入野さんに飛びついた。
入野さんはバランスを崩して後ろに倒れつつ私を受け止めてくれる。
「・・・ほんと、A男運なさすぎ」
「入野さんに会えたから、・・・そんなこと、言わないでください」
「そっか、じゃあラッキーガールだな」
「・・・そこまで言ってないです」
ああ、入野さんの、大好きな匂いだ。
私の肩に顎を乗せ、背中をさすってくれていた入野さん。
匂いや手の感触でわかるけど、顔が見えないと先程のことを思い出してしまう。
顔が見たくて、入野さんから少し離れた。
「どうしたの、?」
「・・・顔、見たくて」
「へえ、大胆なことするね?」
「え゛っ」
入野さんの頭の横に肘をついて体制を維持していた。
その状態はどう見ても私が入野さんを押し倒したようなもので。
顔に熱が集中する。
慌てて横に倒れ込む。
「ご、ごめんなさいそんなつもりじゃ・・・!」
「あれ、やめちゃうの?」
「揶揄わないでください!」
「冗談だよ」と笑った入野さん。
寝転がりながら向き合って、嬉しくて、また涙が込み上げる。
「もう泣くなって!
何があったのか話せる?」
「・・・話したら、キスしてくれますか」
「別に話さなくてもするけど、勿論。」
震える声で話している間、入野さんはずっと、私の手を握ってくれていた。
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真桜(プロフ) - 莉兎さん» いえ…!!ラジオは入野さんの素が出ますもんね笑 入野自由cv.入野自由って結構きます笑 毎回読む度に心拍数が凄くて…笑 本当に大好きでお気に入りの作品です!!勿論です!応援してます! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - 真桜さん» コメントありがとうございます。実はそれを1番意識して書いているのでそう言って頂けてとても嬉しいです…!ラジオの聞きすぎでしょうか、脳内で自動再生されたCV入野自由を頼りに執筆しております(笑)これからもご愛読、ならびに応援よろしくお願い致します!! (2019年5月26日 20時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
真桜(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます…!!私の勝手な偏見なんですけど、入野さんこういう口調っぽそうだなーとか、こういう行動しそうだなーって思って本当に凄いなぁって思います!毎日更新楽しみにしてて…お受験でお忙しいと思いますが、受験合格応援してます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 莉兎さん» ありがとうございます。いつか機会があればお願いします。 (2019年5月26日 17時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - りささん» 謝ることないですよ(・・;)お気になさらないでください、、! (2019年5月26日 16時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月22日 0時