検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:73,245 hit

061 ページ14

.


私をそこまで引っ張って行った男の人は、どこからかテープを取り出し、私の口をそれで塞ぎ、手もまとめ上げられてしまった。

どうして、私がこんな目に。


男の人は、「・・・優しくしてやるからな・・・?」なんて気持ちの悪いことを呟いて、私の服に手をかけ始める。


誰か、助けて!


そう叫んでも、私の声は言葉にならない。

勿体ぶるように私が着ていたシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していくその男は、ひどく興奮しているようだった。



だからだろうか。
後ろから迫っていた影に、全く気づくことがなかったのだ。



「・・・っにしてんだてめぇ!!」

「うっ、!」



そう叫びながら男の後ろからやってきた人は、力ずくで私を男から離すと、上に乗って、そのまま警察らしき人物に電話をかけ始めた。


私・・・助かった・・・?



その人は、電話を終えると、転がっていたテープで男の両手を背中側に纏めた。

そして、こちらに向き直る。


「・・・大丈夫だった?・・・なわけ、ないか」

「っ、」


最初に聞いた声はあまりに怒気を含んでいて気が付かなかった。

・・・入野さん、だ。



入野さんは「痛いかもしれないけど我慢して」と言って私の口と腕に貼られたテープを丁寧に剥がして、羽織っていたパーカーをかけてくれた。


私の目からは、助かった安堵と入野さんに会えたことの嬉しさから、とめどなく涙が流れている。


「・・・そんな顔、しないで」


せっかく会えたんだから。ね?
そう言って服の裾で私の涙を拭う。

抱きしめてくれようとしたその手を、私が制止した。


.

062→←060



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (83 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
166人がお気に入り
設定タグ:kiramune , 入野自由 , 男性声優   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

真桜(プロフ) - 莉兎さん» いえ…!!ラジオは入野さんの素が出ますもんね笑 入野自由cv.入野自由って結構きます笑 毎回読む度に心拍数が凄くて…笑 本当に大好きでお気に入りの作品です!!勿論です!応援してます! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - 真桜さん» コメントありがとうございます。実はそれを1番意識して書いているのでそう言って頂けてとても嬉しいです…!ラジオの聞きすぎでしょうか、脳内で自動再生されたCV入野自由を頼りに執筆しております(笑)これからもご愛読、ならびに応援よろしくお願い致します!! (2019年5月26日 20時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
真桜(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます…!!私の勝手な偏見なんですけど、入野さんこういう口調っぽそうだなーとか、こういう行動しそうだなーって思って本当に凄いなぁって思います!毎日更新楽しみにしてて…お受験でお忙しいと思いますが、受験合格応援してます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 莉兎さん» ありがとうございます。いつか機会があればお願いします。 (2019年5月26日 17時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - りささん» 謝ることないですよ(・・;)お気になさらないでください、、! (2019年5月26日 16時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月22日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。