25、僕の居場所も君の居場所も ページ25
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Aちゃんと共に探偵社に駆け込んだ僕はただ目の前の光景に愕然と立ち尽くすことしかできなかった。
荒れ果てた社内に、黒服達の山の上に座る賢治くん。与謝野さんは優雅にお茶をし、乱歩さんは駄菓子を食べている。国木田さんはその中で一番強そうな初老を躊躇なく背負い投げし、床に叩きつけていた。痛そう。
完全に出る幕を無くしたので、ぼっーと突っ立っていると国木田さんが振り返った。
「おお、帰ったか。勝手に居なくなる奴があるか。見ての通りの散らかり様だ。片付け手伝え。ついでに小娘も手伝え」
どうせ暇だろ、と付け加えられAちゃんはむぅと頬を膨らませる。「お帰りなさい!」と賢治くんは僕らに笑いかけると、「こいつらどうします?」と黒服を指差した。
「窓から棄てとけ」
「はーい!」
賢治くんは元気に敬礼のポーズを取ると倒れていた黒服達の襟首を掴み、本当に窓から棄て始めた。
「く、国木田先輩……窓から棄てるより、市警の方を呼んだ方が良いのでは?」
「市警を呼んでもこいつらはどうせすぐ逃亡する。
それに窓から棄てた方が早い。……ああ!これだから襲撃は厭なのだ。備品の始末に再購入、どうせ階下から苦情も……」
手帳の頁を捲りながらぶつぶつと文句を云い始める国木田さんを見て僕は思った。
マフィアより探偵社の方がぶっちぎりで物騒じゃん!
「国木田くーん!僕、そろそろ名探偵の仕事に行かないと!」
「世界最高の能力を持つこの名探偵、乱歩さんの助言が欲しいって泣きついてきてさ!」
「分かりました。こいつに手伝わせます」
仕事は山積みだと国木田さんに肩を叩かれ、僕は目の奥が熱くなっていくのを感じた。幸いにもAちゃんは別方向を見ていて、僕には気づいていない。これ以上Aちゃんに弱いところを見せたくなかった僕は後ろを向く。
「あ?どうした急に……って何だ……お前泣いているのか?」
「泣いてません」
「泣いてないのか」
「泣いてません」
「泣いてるのか?」
「泣いてます!」
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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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