転生したら乙女ゲーの悪役令嬢とかベタすぎて笑えないんですけど。

笑えない28 ページ33

「まずは新入生の皆さん、入学おめでとう。今日ここにいる120名は何千人もの受験者から選ばれた者たちです。

皆さんはこの学院に入学出来たことを誇って良い。ただし、それは天狗になれという意味ではありません。

皆さんに1つ言葉を贈ります。この学院の生徒であれば誰もが意識し、守るべきものです。


Noblesse Oblige(ノブレス・オブリージュ)


“高貴なる者の義務”という意味です。


皆さんには、この学院で学ぶ権利を与えられると同時に、この学院で学んだことを人々に還元する義務があります。


これからの学校生活を送る上でこれだけは絶対に忘れないでください。


それから……」



ﾊﾞﾀﾝ


突然、講堂のドアが開く音がした。


え？なに？



ｺﾂｺﾂｺﾂ



入ってきたのは……




バカ王子とメアリ。


なにしてんだあいつら。


遅刻した上に謝罪も無しとか、恥ずかしくないのかね。


とか思ってるうちにバカ王子は目の前に。


「お前がユリ･シャイレストだな。」


いや、曲がりなりにも婚約者だろ。名前と顔は一致させとけよ。


『ええ。どうなさいましたか。オリヴァー･ロズワルド殿下。』


普通学校では王子だろうがなんだろうが敬称は付けずにさん呼びなんだけど、ここでは敬称を付けて呼ぶ。


それがユリ･シャイレストという女だ。


そして、私の予測が正しければ、王子はここで私のことを……









ﾊﾟｧﾝ









平手で殴る。



……これはサンドリヨンのシナリオである場面。


どのルートに進もうが関係なくある、共通のシナリオだ。


で、シナリオ通りならここで私は泣き出さなきゃ行けないんだけど、



まあ、こっちのプライドが許さないよね。





『オリヴァー様？これは一体どういうおつもりですか？
(訳:ふざけんなよこのバカ王子。一体どういうつもりだてめぇ。)』


「どういうつもりだと？お前が1番わかってるんじゃないのか？


先程校門でメアリをいじめていただろう！」


ああ。うん。それは認識としては間違ってないと思う。そう見えるようにしたからね。


まあ、否定するんですけどね。


『いじめた？なんの話でしょうか。私はただ道を聞かれたので、目の前に案内板があると教えて差し上げただけですわ。それがどう曲がったら、いじめたなどという話になるのでしょう。』

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