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破天荒、唯我独尊。いつ爆発するか分からないダイナマイト、決して踏んではいけない虎のしっぽ。周りの人がそう好き勝手噂するのを密かに聞いていたけれど、パズルの１ピース程度に彼を知っている私から見ても、その噂は概ね間違ってはいないように見えた。
二つ隣のクラスにいる彼を何度か見かけたことがあるけれど、大抵彼は机に突っ伏して眠りについていた。かと思えば、給食の時間になると徐に起き上がり、機嫌良さそうに手を伸ばすか、あるいは献立に文句をつけるらしい。図書室に引き籠る前に、仲良しグループの女の子から聞いたことだ。
小学校では、そんな彼に向けられる感情は恐怖心、ただそれだけだった。
けれど、「普通ではない」ものに浮足立つ年頃になった中学生たちは、それだけで片付けることはしなくなった。異性に対する、甘酸っぱくて少し危険な興味、関心。まるでテレビの向こう側に映る人間を持て囃すかのような、そんな視線が、単純な畏怖の感情に混ざり始めた。
綺麗だと目を細めること。奔放な生き方に憧れること。
それは決して、私だけの、唯一無二の経験ではなかった。
そう思った途端、また空に浮かぶ太陽と地べたで根を張る雑草のような、途方もない距離を感じるのだった。
危うく、きままで、そして美しい。小学校時代からさらに増していった、どこか浮世離れした魅力に、誰もが近寄り難さを感じていたけれど。
彼にただ一人、対等な立場で付き合うことが出来る人、そんな人が現れた。
頭に浮かぶ龍の刺青、それを彩るように揺れる金髪、抜きん出た長身。一瞬で周囲の視線を掻っ攫う、「普通ではない」風貌のその人は、同じ中学生とは到底思えなかった。
龍宮寺堅、通称『ドラケン』。
入学当初から『マイキー』の片腕のような存在だった。
予測不可能な暴れ馬。そんな『マイキー』の考えていることが、『ドラケン』は手に取るように分かる。
『マイキー』は、先生の言うことは何一つ聞かないくせに、『ドラケン』の言うことには耳を貸す。
ほんの少ししか入ってこなかった情報だけでも、その人がどれほど凄い人なのかがありありと伝わってきた。
そんな『ドラケン』と並ぶと、彼はなんだか一度も話したことのない、全く知らない人のような気がした。みんなの知らない『マイキー』を少し知っていて、話せなくなったことを惜しむほどの関わりがあって。それをみっともなく自慢に思っていた私なんかよりも、龍の刺青のあの人は、よほど彼のことを知っているのだろう。
彼との、佐野くんとの思い出は、どんどん遠ざかっていくばかりだった。
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まめ(プロフ) - 世河経さん» コメントありがとうございます！丁寧に読んでいただいたみたいでとても嬉しいです😭 これからもよろしくお願いいたします！ (2022年4月7日 11時) (
レス) id: e02a633284 (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 久し振りに感嘆の溜息を吐いたような気がします……作品の持つ雰囲気に刮目しました！是非、更新頑張られてください！！ (2022年4月2日 12時) (レス) @page2 id: 1e6cb0271b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みな | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/nymn624
作成日時：2022年4月1日 21時
