狐、オメガです【呪術廻戦】

Ωの狐とチョコレート4 ページ32

熱くなった顔と身体を冷ますために外へ出る
それなりに寒い


呼吸を整え、月を見る




『…悟探さないと』



まだマドレーヌを渡していない相手、悟を探す為にくるりと来た道を戻ろうとする


五「や、探してた？」


『…っ！？』


目の前には悟がいる
いつの間に背後に居たらしい
心臓がバクバクと鳴る



五「任務だったんでしょ？お疲れ」


『うん、…これ、日付変わったけどマドレーヌ』


そう言って悟にマドレーヌを渡す
悟は目隠しを取り、嬉しそうに微笑む
そんなに表情に出してくれるとは思わず、少し戸惑う


五「マドレーヌなんて、Aらしいね」


『なんだ、意味知ってたのか』


単純にチョコ味にできてある程度保存ができて大量生産できるから、それでマドレーヌを選んだのもある
だがバレンタインのお菓子に意味は付くものだ




マドレーヌは、貴方ともっと親密になりたい


そんな意味が込められているらしい
怪我を顧みず、呪いを祓う皆にもっと頼って欲しい気持ちもある


五「…これ、甘いね」


『そりゃそうだろ、チョコだし』


五「違う違う、…僕の好きな甘さってこと。A、もしかして僕のやつ甘さ調節した？」



鋭いやつだ
悟は甘党だし、チョコの量を多くし、砂糖も少し足した
味見の時は顔が引き攣ったものだ



『悪いか』


五「いーや？ありがとね」


そう言ってポンポンと頭を撫でられる
じわじわとまた顔に熱が集まる


五「お返し、期待しててね」



『んむっ…』


1粒のチョコを口へ押し込まれる
中からトロリとした物が中から出てくる


五「はい、口開けて」


『…？』


流石に口に物が入っているのに口は開けれない
フルフルと首を横に振ると「いいから」と返される
恐る恐る口を開けると、悟はにんまりと笑って写真を撮る


驚いて身体が動いたせいで口の中で先程チョコの中から出てきた物が口の端から垂れる
バッと口を押さえ、手を見ると、水色のシロップが付いている


五「見て、A」


ケータイを見せられる
俺の口を中にある白いチョコと水色のシロップ
このチョコ、まるで_



五「僕、食べられちゃった」



『〜っ、悪趣味』


キッと睨みつける
しかもこれ、まるでシロップに溺れてるみたいに見える


五「ははっ、…ほんと最っ高」



悟が笑うと体の力が抜けそうになる
まずい、悟のオーラに屈服するっ…


逃げ出そうとするが体の力が抜けるのが先だった
悟は俺の体を支える



五「じゃ、ゆっくり頂こうか」

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