先祖返りの狐様【呪術廻戦】 (ページ38)

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狐が34匹ページ38

その日の夜

夢を見た

足元には赤い液体が広がっていて

俺はその中に立っていた

周りにはみんなの体が転がっている

赤い液体はそこから出ているようだった

立っているのは俺だけで

手は真っ赤に濡れていた

生暖かく、嫌に冷たい

腕が震える

誰も、立ち上がらない

動かない

視界の端で、虎杖の口が動いた

『虎杖っ…』

声は聞こえない

ただ、「どうして」と口が動くだけだった

尾が

9つの尾が

俺を嘲笑うようにゆらゆらと揺れていた__

『…っは………はぁっ…はぁっ……！』

荒い呼吸と共にガバッと体を起こす
俺はベッドの上にいる

任務が終わって…寝ていた…

『…ゆ、め……』

ハッとして尾を確認する

5本の尾があるだけだ

嫌な汗が止まらない

寒くないのに腕が震える

夢では真っ赤に染まっていた両腕

『…〜〜っ！！』

頭をかかえる
酷い夢だ

尾が増えたらこうなるぞ、という先祖からの忠告か
今日の任務で能力が飛躍的に上がったことからの不安か

分からないが
簡単にただの夢だと切り捨てられない
いつもならすぐに忘れてしまう夢の内容が、ベッタリと脳に貼り付いて離れない

『……くっそ…』

呼吸を落ち着かせてまた寝転がる
目は覚めているはずなのに、眠気は襲ってくる

もうあんな夢、見たくないのに

眠気に多少の抵抗をするも
俺の意識は暗闇に飲まれていった

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五「…A、…Aっ！」

名前を呼ばれて目をゆっくりと開ける
目の前には焦った表情の悟がいる

あれ

呼吸が苦しい
体が熱くて重い
頭をがくらくらする

五「良かった、起きたね。あー…焦った」

『…なに？』

状況が分からず困惑する俺に対して悟は優しい声音で言う

五「昨日、体調悪いみたいだったから様子見に来たら呼吸は荒いし体温高いし、呪力は乱れて若干暴走してるしで大変だったよ」

『…暴走？』

五「一気に2本も増えた影響じゃない？体がまだ慣れてないみたいだね」

そうか
今まで2本も増えたことは無かったし、いきなり呪力が増えたせいで体が多少耐えきれず、今に至ると言うことか

冷静に考えると結構無茶したということだ

五「今日は呪力が体に慣れるまで絶対安静。多分その調子だと時間経てば落ち着くと思うから」

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『…悟、任務は』

五「は？緊急じゃないから放ってきたわ」