隣の席は女子グループのリーダーです。２

・ ページ15

「こちらこそ、ありがとう。

初対面だった俺の相談に乗って、協力してくれて……

まともに話せない俺の話を、急かさずに聞いてくれたこと。

いつも、俺のペースや間合いに合わせてくれたこと。

ランク戦で助けてくれたこと」


「！」


「いつも無表情だけど、ちゃんと優しくて、

人一倍人のことをよく見てる藤堂さんのことを、ずっと尊敬してる」


「……っ」


「俺、本当に、４月は「終わった」と思ってた。
ボーダーの男子はいないし、ひゃみさんも違うクラスだし。

でも藤堂さんのおかげで、毎日楽しめてるし、
藤堂さんとちゃんと話もできるようになって、嬉しい」





辻くんの、淡々としているけど、心がこもっているとわかる言葉を聞いて、私はとっても嬉しくなった。


そして、辻くんに片想いしている私は、辻くんの言葉に夢を見た。


もしかしたら、辻くんも私と同じ気持ちでいてくれるのかもしれない、なんて……



期待せずにはいられない。



けれどその期待を押し留めて、

私は自分のできる精一杯で、最大限の笑顔を作って返した。





「そんなふうに言ってくれて、ありがとう」





と。

・→←２６　帰路にて

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す