約束【桃】 (ページ5)

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男「この間はよくも俺を振ってくれたな」

俺のプライドが傷つけられたとかお前のせいで散々惨めな思いをしただとか、

八つ当たり以外の何物でもない理由をたらたらと述べながら整った顔を歪ませて近づいて来る先輩。

すごく怖いけど取り巻きに後ろから腕を掴まれていてとても逃げられそうにない。

男「俺を振ったこと後悔させてやるよ。

イイことしようぜ、Aちゃん」

『いやっ、…誰か、助けて…っ』

恐怖で震えて思い通りに声が出せないわたしの顎を先輩が掴んだ時、

「A！！！！！大丈夫か！？！？！？」

救世主が登場した。

『…ひー、くん…っ？』

なんでここに？

安堵で一気に身体の力が抜けてしゃがみ込む。

男「お前誰だよっ？邪魔すんじゃねーよ！」

照「まじで許さねぇ。殺ってやるよ。手加減しねーぞ」

ひーくんの目は怒りに満ちていて殺る気満々だけど、先輩で体格差もある上にこの人数差ではとても勝てそうにない。

『ひーくん、無茶だよ…、やめてっ』

わたしのせいで怪我でもしたらどうしよう…

そんなことを考えていた時、

「お巡りさーん！こっちこっちー！
ここにイケナイことしようとしてる人たちがいまーす！」

この場に似つかわしくないほど間の抜けた声が聞こえてくる。

しかしそのセリフは効果抜群だったようで、それを聞いた取り巻きたちは一斉に走り出す。

その先輩も「くそっ」と言いながら一目散に逃げてしまった。

「はぁ〜二人とも危なかったねぇ〜」

照「ふっか！今から俺があいつ殺るところだったのに邪魔するなよ！」

深「はいはい〜。照はAちゃんのことになると周りが見えなくなるから。

さすがにあの人数相手じゃ勝ち目ないでしょ」

『…あれ？お巡りさんは？』

深「あれは嘘。ココ使っていかなきゃね」

「俺って頭いいな〜天才！」なんて言いながら頭を指さすふっか。

安心したと同時にまだ止まらない震えと掴まれていた腕の痛みで涙が溢れ出てきた時、ふわっと全身を包まれた。

照「怖かったよな。ごめん、俺がもう少し早く気が付いてれば」

照「でも間に合って本当によかった」

見上げると今にも泣き出しそうなひーくん。

ふっかはやれやれといった様子で見守っている。

照「お前は俺が守ってやるから」

そう言ってひーくんは震えが止まるまでずっと優しく抱きしめてくれた。

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