約束【桃】 (ページ11)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:104,467 hit

. ページ11

.

担任の挨拶とHRが終わり、帰りの時間となった。

ひーくんとふっかは男の子たちと盛り上がってるし、寂しいけど今日は一人で帰ろっかな。

近くの席で仲良くなった子たちに挨拶をして教室を出る。

靴を履き替えて校門に向かう途中、先輩らしき男の三人組がこちらを見ているのに気付いた。

「いた、あの子」
「うおっまじじゃん。めっちゃ可愛い」
「俺狙っちゃおうかなー」

待ち伏せしてたらしい彼らは、上から下まで舐め回すようにじろじろ見てきてとても嫌な感じだ。

「ばーか、俺が最初に狙ったんだよ。ちょっと声掛けてくるわ」

どうしよう…近付いてくる…

中学のあの一件以来、男の先輩というものが少し苦手になっていた。

少し震えてくる足。

でも急にリターンしても変な感じだし…

どうしよう…

と考えている時、

「A！」

と大きな声で呼ばれる。

振り向くとひーくんがこちらに向かって走ってきていた。

照「一緒に帰るって約束したじゃん」

え？そうだっけ？？

忘れてたのかな？なんて思ってると握られる右手。

突然のことにびっくりしてそのまま歩き出したひーくんを見上げると

照「虫除け」

なんて先輩たちに聞こえないようにボソッと呟く。

「なーんだ、彼氏持ちかよ」
「まぁあんだけ可愛かったら仕方ないって」

先輩たちは私たちを恋人同士だと思ってくれたようで、諦めて行ってくれた。

『あ、ありがと』

照「ん、」

こちらをチラッと見て無表情で答えるひーくん。

あれ？ちょっと怒ってる？

照「なんで先帰ったの？」

『え？男の子たちと楽しそうにしてたから邪魔しちゃ悪いかなって…』

照「Aが邪魔なんて思うわけないじゃん」

『え、うん…ありがと。そういえばふっかは？』

照「置いてきた」

『そ、そっか』

しかしいつまで手繋いでるんだろう？

先輩たちももう見えないから大丈夫なんだけどな…。

でも少し不機嫌らしいひーくんには言い出しづらい。

しかしひーくんと手を繋いだのなんて小学生以来だ。

本当に背伸びたなぁ。

小学生の頃なんて同じ目線だったのに。

春休みの間にさらに筋肉もついてますますガタイ良くなってない？

ひーくんなんて小学生の時に付けたあだ名、可愛すぎて呼べないな…

『照』

照「え？」

初めて呼び捨てで名前を呼ぶと、足を止めてこちらを見た照はとても驚いた顔をしていた。

.