Distance makes the heart grow fonder

♯8 ページ9

「ところですみません...知らなかったとはいえ敷地内へ入ってしまったことを謝ります」
「大丈夫だよ こんな森の奥まで来る人はなかなかいないからと敷地を囲わなかった我が家も悪いのだから気にしないで」

それから暫く話をして敬語らしきものが取れてきた頃

「ねえ宏光って毎日来てるけど明日以降も来れるの？」
「うん、時間はあるから」
「それなら明日からこの時間ここへ毎日きて、俺の話し相手になってくれない？」
「えっ！？」
「実は先日事故にあって、身体は戻りつつあるんだけど視神経の方がダメージ喰らったみたいで、見えなくなったんだ 角膜がやられてる訳じゃないからこの先見える可能性もあるんだけど 目を酷使するとこのまま見えなくなってしまうと言われ、ずーっと包帯をしててここで療養してるんだ」
「.....」
「TVも見れないし、新聞も読めない、話し相手もいないからすごくつまらなくて...」

辛い体験をして更に見えないという状況下で、俺が相手になるのは全然構わないが、やはり相手は御曹司なだけにいいのだろうか

「忙しいなら無理にとは言わないけど」
「...俺で良ければ毎日来ます」
「ありがとう 宏光の声好きだから、本や新聞とかも読んで欲しいな」
「すらすらとは読めないと思うけどそれで良ければ 所でここに来ること他の人には...」

流石に庭から毎日顔を出すのは印象も悪いし、祖母に迷惑がかかるのも困る

「大丈夫心配ない 第一ここには俺と執事だけ....」
「わん！」
「あっごめん、シェリもいたな」

そうですよ！彼を連れてきたのは僕ですからって顔で主人を見上げる

「ほんとによく懐いてて賢いな」
「この子はフランスの知り合いから産まれたばかりの頃引き取り、愛情をいっぱいかけたんだ ″シェリ″はフランス語で″愛される者″って意味」
「うん、ほんと愛される者だね」
「わん！」

本当にタイミング良く返事をするシェリ
中に人間入ってないか？と疑うくらいだ

太輔とはそれから毎日会うことに
といってもお昼まで...
流石に1日は無理で執事が昼食の用意をしているから一緒に食べることは出来ないし、午後からはリハビリもある、俺も宿題しなきゃいけない
それでも毎日太輔と話をしてるともっと話したいな…とか思い始める


太輔もまだ大学生だが既に仕事をしていて、藤ヶ谷財閥の御曹司の自覚を持ち頑張ってる
新プロジェクトを任された直後事故にあい、今は一つ下の弟が頑張っているが、初めて任されたのもあり、早く復帰しなきゃと呟いた

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