Distance makes the heart grow fonder

♯3 ページ4

明るい所から暗い所へ来たせいで見づらいのか、目を細め
「あぁ...失礼 先客が居るとは思わなくて」

すぐに姿勢をただし、礼儀正しい笑みを浮かべ英語で話しかけてきた

「あっこちらこそ すぐご挨拶もせずすいません」
緊張しながらも英語でなんとか返事をすると
彼の表情が怪訝そうなものになり、少し考える素振りを見せた後

「貴方はどこの社員かな？」
今度は日本語で話しかけてきたので
「Charles’Wainの北山と申します」
「日本人だよね？今日は世界各国の方々が見えてるので、英語で話しかけてしまったけど とても発音が綺麗だ」
「ありがとうございます 高校生の時イギリスに交換留学生として短期間勉強してきました」
「そうなんだ...」

納得した彼がじっとこちらを見つめてくる
「あの...」
「あぁ失礼 実は大学生の頃事故で一時的に目が見えなくなって、夜目がきかないんだ じろじろ見てすまない」
「いえっ...」
大きくかぶりを振る

再び見えるかも分からなかった6年前と比べたら夜目がきかない程度まで回復している事に安堵するもそれにしては見つめすぎではないだろうか

落ち着かなくそわそわと身じろぐ俺に気づいたのか、緊張を和らげるように話しかけてきた

「そういえば今回北山さんの会社はかなり興味深い提案をしていて興味が湧いてるんだ 消臭効果のある竹をつかった布を提示してくるなんて 本当に消臭効果はあるのかな」
「本当です ご説明させてもらっても宜しいですか？」
「勿論」
仕事の話になり少しほっとする

会社代表でプレゼンする事にはなったものの、このテキスタイルの提案をしたのは俺だ
別館完成に伴い、本館の壁紙やクッション、シーツ、ガウン、タオルなどのデザインを「和」をテーマに日本国内で募集をかけたのが三ヵ月前
コンペに残った数社がこのパーティーに招待客として参加してるのもあり、ここでちゃんと説明しておかないといけないかも
かなり重要な任務になったけど俺自身も自信のある提案なので、ここは力の見せ所だ

「竹には消臭効果がありますが、炭の方が更に高いです….....」







彼に所々質問されながらも丁寧に答え、今回提案したテキスタイルの良さをアピールした
夢中になってたのとやはり緊張していたのもあり途中から早口になってしまったんじゃないかと不安になりながらも何とか説明を終える

「何か他に聞きたいことはありますか？」
「いやありがとう とてもわかりやすかった」
「お役に立てたならなによりです」

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