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♯3 ページ3

─肩を並べ歩いている─

そう言えば藤ヶ谷とよく海に行ったが、今年はまだ行けてないな〜と呟くと、今から行くか!と笑顔で答え前を歩いていく
待ってくれと呼びかけても歩みは止まらず、段々と離れてしまい、大声で呼ぶのに止まらない背中を必死に追いかけるけど、脚が重くてなかなか前に進まない

段々周りの景色が白くなり、光の中に藤ヶ谷が消えた






「藤ヶ谷!!!」
…自ら叫んだ声で意識が浮上し目が覚める…夢か…

目に映るのは見慣れない真っ白な天井
手を伸ばそうとしたら、点滴の管が繋がれていた
あれ…ここは…病院?!
確か藤ヶ谷と見送りした後、お昼ご飯をどうしようかと話してて…
ここに来る直前の事を思い出し…自分は助かったのか?

あっ!藤ヶ谷は?!どこ?

起き上がろうとしたが、痛みとめまいに襲われ再びベットに沈む
誰か…誰か呼ばなきゃ…

どうしたらいいのか焦っていると扉が開き、誰かが近づいてくる気配

「北山さん、気がついた? 分かるかな?気分悪くない?先生呼んでくるから動かないでね」
声をかけられ、再び扉の向こうへ出ていった

その後担当医がきて、色々と調べられる
身体全体的が筋肉痛になったかのような痛みだが、骨折もしてなく、全身打撲と擦り傷くらいでおさまっていた

その後警察と名乗る人から事故の状況を説明された

前方の車に追突したトラックから逃れようと藤ヶ谷がハンドルを切ったお陰で、真正面からぶつかることは避けられたのだが、運転席側に当たりながらすり抜ける様にしてぶつかったらしい
事故直後の現場写真を見せてもらったが、運転席は押しつぶされていた

俺のことより藤ヶ谷の事が心配で尋ねると、同席して
た看護師さんから
「運転をしていた人ですね…彼は少し前に手術を終えて集中治療室に居ます」
「あ…会えますか?」
「手術は成功したんですが、まだ意識は戻らず危険な状態で、家族の人ともまだ面会出来ない状況なんです」

看護師の言葉に愕然とした
藤ヶ谷…無意識にきゅっとシーツを握ると

「そう言えば現場に駆けつけた時、彼は君を守る形で覆いかぶさる様に見付かっていてね」
警察の人が思い出したかのように伝える

あっ確かぶつかる直前、藤ヶ谷に抱きしめられた事を思い出した
藤ヶ谷が俺を庇ったから…

その後警察からの話はあまり耳に入ってこず、ただひたすら藤ヶ谷を助けてくれと願うだけだった

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作者名:pearl | 作成日時:2022年12月6日 8時

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