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▼.痛みと呼ぶには違う『それ』 ページ19

蒲団に潜り込み、体を丸めているのは私の先輩だ。なかなか出社しないから、と国木田さんに言われて来てみれば、まさか腹痛で動けないでいた、なんて。
なんて情けない。


「大丈夫ですか?
胃薬買ってきましたけど」
「うぅ……ありがとう、Aちゃん」


のそのそと蒲団から顔を出し、座り直したその人、___太宰さんは、へら、と青ざめた顔で笑う。こんな顔色、太宰さんにしては珍しい。


「いやぁ、まさか山で採った茸が毒茸だったとは」
「……また未遂ですか」


ちゃんと死に切れるならまだしも、半端に終わったら寧ろ苦しくて痛いだろうに。
私はコップに水を注いで、太宰さんに渡す。太宰さんは胃薬と一緒に水を煽り、はあ〜、と息を長く吐いた。


「あー、苦しかった。
ちょっと痛くなくなったかな」
「良かったです。
……お粥ありますけど、どうします? 食べられますか」
「食べられるけど、そうだねぇ」


太宰さんは口角をあげる。顔立ちが整っている分、笑顔が綺麗なのが妙に腹立たしい。
太宰さんは私に向かって手を伸ばす。
なんだ、と思って、その手を取った。


「え、わ、ちょっ……」


ぐ、とそのまま床に押し倒される。
さっきまで腹痛で体を丸めていたとは思えないほど力が強い。


「だ、太宰さん……?」


恐る恐る、声をかける。太宰さんは私を押し倒したままくるくると私の腹部を空いている方の手のひらで撫でる。

ぞわ、と妙な感覚が体に駆けた。


「だ、太宰さん……?」
「警戒心が薄いね、Aちゃん。
私があれ程度でお腹壊すと思う?」
「だ、だってこの間馬鹿みたいなこと言って踊ってました」


そう答えれば、太宰さんはそんなことあったね、と思い出したように少し笑う。
太宰さんの指先が唇に触れた。


「……抵抗しないの?」
「……」


太宰さんは不思議そうに、でもとっくにわかっていたという顔で私を見下ろす。

だって、当然だ。
私の心臓が、貴方を好きだ、ってうるさいんだもの。


「……わかってるくせに」
「まあね」


太宰さんはそう笑って、私の唇に口付けた。




2019/9/6 硝子屋

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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
- あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月25日 6時

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