▼.ある朝の睦言 ページ18
(『▼.喉に詰まった菊の花』の続き)
「……ん」
「おはようございます、A」
よく眠れましたか、と聞く条野殿は既に隊服を身に付け、椅子の上ですらりとした脚を組みながら、珈琲の香りを漂わせている。名前を呼び捨てにされて昨夜の記憶が蘇り、顔が熱くなる。
初めて一緒に朝を迎え、それなのにこの人は平然としている。私ばかり、手のひらの上で転がされているようだ。
「な、名前、呼び捨てにしないで下さい」
「おや、昨夜は貴女も私を名前で呼び捨てにしていましたが」
「やめてくださいよ!!」
非常に愉しそうに笑いながら条野殿は私をからかう。そもそもそれは貴方がそうしろって言ったからだ!!
私は寝台の中で服を着替え、のそのそと這い出る。条野殿に見えてないと分かっていても、何となく恥ずかしかった。
「珈琲を淹れていますよ」
「……ありがとうございます」
条野殿の向かいに腰かけて、食卓に置かれていた珈琲を口にする。想像より苦すぎず甘すぎず、香りを楽しむ為の珈琲、といった味がした。
「……っはあ……」
体の芯からじんわりと温かくなっていく。思わず息をこぼす。
条野殿がこんなに珈琲を上手に淹れる人だったなんて、恋人になって初めて知った。
「……ご馳走様でした、美味しかったです」
「それは何より」
条野殿はそう言って立ち上がり、食卓越しに。
「ふっ!?」
ほんの一瞬、軽やかに、触れるだけの口づけ。
それでも。
「なっ」
「ご馳走さまでした、美味しかったですよ」
そういうところだ!!!
「何するんですか!」
「いえ、私も欲しいな、と」
睦言は続く。
2019/8/21 硝子屋
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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫 - あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月25日 6時