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眼鏡を外し、机に置く。
そして、腕の中からこちらを見上げるAの頬にかかる髪を払い、小さな唇を親指の腹でなぞる。
「えっ、あの、職場で、それは、ちょっと、」
かあっと顔を赤らめた彼女は、しかし身じろぎ一つ出来ずに、真ん丸な瞳で僕を見つめ続ける。
……しかし、そう言われてしまうと。
「……休日が無いっていうのも困りものだな」
「そっ、それは安吾先輩が仕事し過ぎなんですよ!
……わ、私は……もっと一緒が良いんですけど」
照れたように視線を外し、彼女は早口で言う。
……甘え上手な上に誘い上手とは恐れ入る。
もっと一緒にいたいのはこちらも同じだ。
彼女の髪に指を絡ませながら、そうですね、と呟いて、
「……今度、僕の家に来ますか?」
「わーっ、良いんですか!?
えへ、お家デートなんて、嬉しいです!」
そう言って、彼女はひどく無邪気に笑うのだから、何も察しない妙に鈍感な愛しい人に、少し罰を与えることは許されるはずだ。
「え、安吾せんぱ、」
深い口付けを数秒間、その後口を離せば、彼女はさっきよりも真っ赤な顔で、はくはくと魚のように口を開閉する。
それが可笑しくて思わず、吹き出してしまう。
「あっ、安吾先輩っ!!」
「ふふ、……いえ、……仕事に戻ります」
早く仕事を終わらせよう。
憤慨する彼女にもう一度笑って、次の休日に思いを馳せた。
2019/8/5 梛霧 改め 硝子屋
2019/8/5 加筆修正
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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫 - あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月25日 6時