魅惑的で不思議 【名前変換オリジナル】

#７ ページ7

遥馬side


目の前でふわふわとした雰囲気を纏ったAは、楽しそうに結人と話していた。

なんとなくそれがモヤッと、気に食わなかったから、寝ているフリもやめて話に混じる。

結人がAのこと好きなんだろうなっていうのは薄々気づいていたけど、Aは自分の隣で笑ってて欲しかったから、正直加担するつもりはない。

俺だって別に優しい人間ではない。


「……夏祭り、行くんでしょ」


『聞いてたの？』


「うん、ちょっと聞こえた……」


「おー！良いじゃん！遥馬も行こうぜ」


結人は気づいていないらしい。俺が2人を邪魔しようとしていることに。

別に気付かなくても良いが。このモヤモヤは、世間一般でいう"嫉妬"ってヤツだろうか。

だとしたら、これは"好き"だということだろうか。

しかし、出会って3ヶ月やそこらで好きになるのは単純な男だろうか。


「……あ〜、わっかんね」


『何が？』


「……独り言だよ」


『あぁ、独り言ね？！』


全く……分かりづらいなぁ。なんて呟くAの横顔を、机に突っ伏しながら見上げてみる。

白いけど、血色のよい肌は健康そうで、ぱっちりと二重の瞳からはぶれない芯の強さが見てとれる。ほっそりとした体とはまるで真逆の豊満なモノが、そこにある存在感を主張していた。

艶やかな髪がさらさらと風に吹かれて、柑橘系の柔らかい薫りが鼻腔を掠めると同時に、やけに丈の短いスカートがヒラリと舞う。

人のことを良いだけ"色気が〜"だの"カッコいい〜"だのって言うけど、Aも相当の魅力を持っていると俺は思う。

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