保健室と横顔-Ren.N- 1 ページ27
.
……あ、……廉だ。
体育館から見えた、中庭を挟んで向かいの校舎
その2階に、友達と談笑する綺麗な横顔。
開いた窓から入り込んだ風がセットされた髪をゆらゆらとなびかせていて、
それを鬱陶しそうに髪を整える姿さえもドキッとする。
部活中にそんな煩悩が邪魔してか、
普段は滅多に怪我なんてしないのに、バドミントンのラケットを思いっきり振った瞬間、盛大にコケてしまった。
転んだ拍子についた手をひねってしまったみたいで
顧問や部活仲間に心配され、馬鹿にされながら、体育館を後にした。
『失礼します』
保健室の扉を開くと、薄暗い室内が
先生が不在だということを知らせる。
とりあえず氷水を袋に入れて手首を冷やせるものをつくって
保健室の隅にあるテーブル横の、小さめの狭いソファに腰掛けた。
スマホすら持ってきていなかったから、暇つぶしをすることもできず
ひたすら頭に浮かぶのは、さっき見た廉の横顔。
今頃もう帰ったかな
あ、でも部活かな
そんな妄想に耽っていると、すぐ耳元で高めの甘い声がまるで幻聴のように聞こえた。
「どうしたん？A」
『………、…えっわっっ！！！びっっくりした〜〜！』
「は？なんで？俺、失礼しますってでっかい声で言ったし」
幻聴でも幻覚でもなく、
目の前には、頭の中にいた、ただひとりの彼。
「で？大丈夫なん？」
私が冷やす手首を見て、廉が眉を下げる。
そんな仕草にすらドキッと胸は高鳴って
視点の定まらない私は言葉さえもうまく出ないみたい。
『え、えっと、あ、うん。ちょっと部活で怪我しちゃって』
「まじか。鈍くさいな〜A」
『…うるさ』
誰のせいだと思ってんの。って心の中で悪態をつく。
廉のことを見てて、廉のことを考えていて、それで転んだ
なんて、口が裂けても言えないけど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1593人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hinata(プロフ) - ゆかさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！ずっと見てくださってるなんて…ほんと嬉しすぎます！(；；)そう言っていただけるならいくらでも書きますので！これからもぜひよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年2月16日 23時) (
レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - 月さん» はじめまして！！読んでいただきありがとうございます(；；)リピ読み…！めちゃめちゃ嬉しいです！！！また気が向いたときにお読みいただければ幸いです…！コメントもありがとうございました！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 更新嬉しいです！ずっとお気に入り作者登録しております。また新作書いてください！飛んできますので！笑 (2021年2月15日 0時) (レス) id: 3890b64e54 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - hinataさんはじめまして。完結おめでとうございます！保健室とベッド好きすぎてリピ読みさせてもらってます！ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 11039f4f3f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - AAAさん» わああとっても嬉しいです(；；) ドキドキしながら投稿したのでそんなこと言っていただけるなんて、、 わたしも頭の中で続編考えてしまいました笑 これからもよろしくお願いします！m(_ _)m (2020年4月14日 19時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hinata
| 作成日時：2019年8月18日 5時
