試してみない？キスの味〈れんしょう〉 ページ24
「なあ紫耀。キスの味ってさ、
どんなんやと思う？」
「は。どうしたの急に」
休日、ソファに横並びで
ゴロゴロしているときに
スマホをいじっていた廉から
かけられた言葉。
たまに突拍子のないことを
言い出したりはするけど、
今日のは一段とわからない。
「いや〜なんとなく。
紫耀映画とかでキスしてたりするやん。
だからどうなのかなって」
映画と現実は別物であって、
第一そんなの考えたことない。
「俺はさ、キスなんかしたって
いちごの味とか甘酸っぱい恋の味とか
そんなもんあるわけないやろって思ってんの」
まぁ、確かにな。
よく少女漫画に出てきそうな表現は
感じたことない。
「でもさぁ、」
今までスマホに落としたままだった
視線がこちらを向き、
チュッ
と、軽く唇が触れ合った。
「ふは、ビックリした？」
「そりゃあ急にされたら誰だって・・・」
ちょっと驚く俺を横目に
廉は話を再開。
「さっきも言ったけど、
キスに味なんかあらへんねん。でも、」
つーっと俺の唇を指でなぞり、
「紫耀とのキスは、甘く感じる」
「…っ、」
多分今の俺を側から見たら、
茹でダコとそんな大差なく見えるだろう。
「紫耀は感じひん？俺とのキス。
どんな味か、」
「、そんなの。わかん、ないっ・・・」
へぇ。
挑発的に、ニヤリと笑った廉。
クイッと上がった口角が、
そこから見える白い歯が、
俺を見据える綺麗な瞳が、
全部、全部。
なんだかとても色気を含んでいて。
ドサッ
どうしてだろう。
さっきまで隣にいた廉が
なぜだか今は俺の上。
俺から見えるのは
廉と、白い天井だけ。
「・・・れん？」
「紫耀・・・試してみる？」
なにを、なんて。答えはわかってる、、。
「しっかり味わうんやで、俺の」
“キス”
最後の言葉は、直接廉の唇を伝い
俺の口へと届けられた。
降り注ぐキスの山。
甘い、甘い、
・・・キスの味。
(完)
急に思いつきで書いてみました。
ご覧下さりありがとうございました。
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作者名：うめもも | 作成日時：2021年9月13日 13時
