大切な人を見つけるお話【諸伏景光】

31話 ページ33

食器のぶつかる音と微かに聞こえる雨の音が店内に響いていた



「お客さん、少ないですね…」



コーヒーカップを洗う梓さんがポツリとそう言った



「雨、ですからね……」



予報通り降り出した雨だから想定内のことではあるが……



「暇になっちゃいましたね」



苦笑いをした梓さんに同情した



久しぶりの雨だからだろうか、胸の奥がざわめいている感じがする
何かが、動き出した………



「安室さん、なにか聞こえません？」



「ん？」



耳を澄ました
鳴り止まない雨の音と一定の間隔でなる音



「携帯、鳴ってますね…」



恐らく僕のだろう、と確認しに行った



鳴っていたのはプライベート用ではなく仕事用のものだった
画面に表示されている名前は



『風見裕也』



「どうした、風見」



なるべく小さな声で電話に出た
風見からということは何か進捗でもあったのか…



「組織の残党が潜んでいると見られるビルの辺りから銃声が聞こえたと通行人から通報がありました」



「なに？」



「今、1課の者と公安が向かってます」



仕留めるなら今だ
長い長い悪夢を終わらせよう





「目撃情報によると、男2人と









火傷を負った女性が1人＿＿＿」

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