大切な人を見つけるお話【諸伏景光】

13話 ページ15

「で、なんだよ話って」



場面は変わり僕の愛車の中
エンジンはかけずに静かな空間で萩原にそう聞いた



「諸伏と付き合ってたっぽいよ、月島」



「なっ……」



そんな話1ミリたりとも聞いたことがなかった
アイツのことはなんでも知っていた"つもり"だったんだ



「だから、あんなに必死に…」



「そゆこと」



窓の外の月は欠けていた
今も彼は、探し続けているのだろうか
諦めたことは、無いのだろうか



「ほんと不思議だよな、あんなに可愛いのに警察官になりたいだなんて…他の道だってあったと思うけど」



茶色いサラサラの髪と、それと同じ色の瞳が脳裏に浮かんだ




「それくらい、譲れないものがあったんだろ」




正義感
憧れ
守りたいもの
譲れないもの
失いたくないもの




どれだ…どれが彼女をここへ導いたんだ
それとも、他にあるのか




「じゃ、俺はもう行くよ」





助手席のドアを開けて、片足を地面につけたとき
彼の口が動いた







「もう失いたくないんだってさ」







それは、彼女の言葉か？




それとも、ヒロの言葉？




一体誰の…そう聞こうとしたときにはもうドアは閉められていた

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